11月初頭。
僕は燃えていました。
新たなチャレンジ。
ミュージカルパンフレット制作。
全8ページ。
3週間にわたる大仕事でした。
パンフレット本体デザイン、9社分のスポンサー広告デザイン、そして出演キャストのポートレート撮影まで、何もかも自分一人で手掛けてしまおうというのですから。
なんて壮大なる無謀!
もとい(笑)
なんて壮大なる野望!
まるで次世代のボーイング新型開発機、僕が設計して組み立てて操縦して飛ばしますよ!って宣言したにも等しいほどです。
夢をクリエイトしたい!という抑えがたい性分。
「ありきたりな事をするくらいなら、やるな!」が持論。
手を抜くなんて論外、完成度を落とすのは作品の命を落とすも同然。
自分の創造性に忠実でありたい。
こうした考えを合体させると、ヒデキマツバラの出来上がりです(笑)
技術レベルや経験値なんて顧みず、目指すのは一生に一度きりの独創的なデザイン。
ひとたび物事が転がり始めると、宇宙は他のお仕事までもたらします。
グラフィックデザインで手一杯なところへ来ました来ました、音楽制作、脚本制作、演出、広報、事務処理、新事業の準備。
ことごとく眼前に締切日を突きつけます。
1つ締切を切り抜けたら、次の締切へ。
さながら刺客に追われるサムライです。
やることリストを掲げます。優先順にこなしていきます。
こなしているのに、日々リストを改訂するたび、やることが増えていくのはどうしたわけでしょう?
気分はタコ足配線のコンセント。
「果たして本番までに万事うまく準備できるのか?」
それは底なし沼の容積を計測するようなもの。
思考を縛りつけようとする悪魔からの問いかけです。
そういう時こそ、自分が力んでいることに気づく絶好のタイミング。
力むと、あなたの許容量はデミタスコーヒーカップほどに萎縮してしまいます。
すぐに限界を超え、溺れてしまうのも時間の問題でしょう。
一方、心地よさを感じる時、あなたは大洋につながります。
それはあらゆる大河の流れをしなやかに受け入れる海。
どれほど川が氾濫しようと、海まで影響が及ぶことはありません。
大海原の気持ちで取り組めば、直面しているものに変化が訪れます。
牛歩の如く進めていた作業が高々と帆を上げ、スィーっと風の軌道に乗る。
自分がクリエイトしているはずのもの、それ自身が意志を持ち、鼓動を打ち始める瞬間です。
誕生に向けて、目に見えぬ創造の海という母胎の中で手足を広げ始める作品。
そして僕は予感するのです。
熟れたての甘い果実をもぎ取るような至福感を。
さて、そんな「夢の収穫」に向け、無我夢中で頑張っていた矢先でした。
突然、夢から現実へと引き戻される出来事が起こりました。
家族が緊急手術を受ける事になったのです。
不調を訴えて病院に駆け込んだところ、明日にでも手術しなければ、とお医者様。
急を要する話に、当人はもちろん、僕もショック。
当たり前のようにそばにいる家族の身にいざ問題が起きると、その存在価値が自分にとってどれほどのものか突きつけられます。
僕は思い知りました。
自分一人で頑張ってるつもりだったけど、連日フル稼働で制作に専念できたのは、それを陰で支えてくれる家族がいたからなのだと。
夢の種は、土の中から芽を出します。
「土」とは「理解」や「支え」のこと。
夢を下支えしてくれるルーツがなければ、花や果実など望むべくもありません。
あぁ、なんて僕はちっぽけで傲慢だったんだろう。
ごめんなさい。
幸い、病状は初期段階でした。手術は無事成功。
サクランボのスパークリングワインを取り寄せて乾杯しました。
僕が夢を追えるのは、家族という恵みの大地に根を伸ばしていられるおかげ。
さらに、思いがけない恩恵にも恵まれました。
助けてくれた人たちの存在。
送り迎えの足になってくれたり、脚本や楽曲のデータ作成を手伝ってくれたユミさんにトムくん、心から感謝しています。
本当にどうもありがとう。
塞翁が馬。
公私とも渦中にあった11月。
自分がいかに果報者であるか気づけた11月。
夢の収穫まで、あと8日。
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