ヒデキマツバラの猫道Blog

愛猫家ミュージシャン、ヒデキマツバラの猫道(キャットウォーク)ブログ

みずいろの恋 〜蒼きポール・モーリア〜

お久しぶりです。

今日はポール・モーリアのことからご紹介していきます。

 

 

南フランスの風

ポール・モーリアはフランスが誇るポップオーケストラの大御所。

優雅で情緒と気品に満ちた彼の作品は、南フランスに降り注ぐ陽射しや地中海を渡る風を思わせます。

 

そんな彼の音楽こそ、幼少期の僕のサウンドトラックでした。

自宅レッスン室ではいつもポール・モーリアが流れていました。

レコードがかかっていたり、コンサートに向けて母がピアノで弾いていたり、レッスン生たちがアンサンブルで合わせていたり。

まるで我が家の一部であるかのように、その妙なる音楽はいつも家中に満ち満ちていました。

来日公演があるたびに、母が僕らの手を引いて連れて行ってくれたのも良き思い出。

聴きごたえのあるステージはもちろんのこと、オーケストラ楽団とともにコントじみた楽しい小芝居コーナーがあったりして抱腹絶倒したことを今でも覚えています。

 

そんなポール・モーリアの代表作と言えば「恋はみずいろ」

なにしろ非英語圏の楽曲には耳を貸さないアメリカでさえ5週連続1位の大ヒットになったほどです。

フランスの楽曲が全米チャートを制覇したのは、歴史上あとにも先にも「恋はみずいろ」ただ1曲だけなのだとか。

 

以前、一度だけシンセサイザーでカバーしたことがあるんですよ。

その時の動画がこちら。

 


【ポール・モーリア】恋はみずいろ シンセサイザー by ヒデキマツバラ Paul Mauriat - Love Is Blue / L'amour Est Bleu


これはポール・モーリアが亡くなった翌年、我が美美の環スタジオが開催した追悼公演です。

「日本の地中海」と呼ばれる多島美で知られた瀬戸内海上を、豪華客船「銀河」を貸し切ってのランチクルーズコンサートでした。

 

「恋はみずいろ」という楽曲には、切なくも爽やかで愛らしい魅力があります。

でもそれを安易に耳コピーしてしまうと、シンセらしさが生かせません。

そこでこの時は「恋はみずいろ」がもつ耽美性を電子音で描きながら編曲していくことにしました。

こうしてトランシーな音使いを多用したカバーバージョンへと仕上げたのです。

 

一般的にはインスト曲として知られた楽曲だけど、歌入りのバージョンも存在しているようです。

そこで僕は楽曲構成を変則的に組み、ワンコーラス目をシンセで、2コーラス目から弾き語りでいくことにしました。

そうしていざネットで英語版の歌詞を調べてみたところ。。。

 

恋って何色なの?

恋はみずいろ。

よくよく考えてみると、実に不思議なタイトルですね。

 

みずいろの恋。

それは一体どんな恋だろう?

 

水色は爽快感と広がりを感じさせる色。

透き通った海、澄んだ空を想起させる色。

 

だとしたら、それはパステルブルーの瑞々しく淡い恋かな?

あぁ、素敵ですねぇ、そういうの、好き(笑)

 

長年そんな能天気なことしか考えていなかった僕。

だから「恋はみずいろ」の歌詞を初めて目にして衝撃を覚えました。

 

感情の色彩

色って面白いものです。

目に見える色彩だけでなく、目に見えない色彩をも表します。

目に見えない色彩、つまり感情とか気分のことですね。

そして僕らは感情に宿る色を、第六感で感じることができるのです。

 

例えば赤。

赤は血の巡りに影響して、気分を高揚させ、元気が出てくる色です。

でも赤が過剰になると怒りが誘発され、血を見るような争いを招きます。

また、恥という究極の自己否定的な感情に支配されると、顔は赤面します

 

例えば黄色。

黄色は実った穀物や豊かな太陽光を表し、恵みを実感させてくれる色です。

でも黄色が過剰になると、危険信号が灯ります。

 また、依存症的嗜好から病へ至ると、顔は黄色くなります。

 

では、青だとどうでしょう?

青が表す感情や心理状態とは?

 

ここで、ちょっと笑える奇妙な例文を2つ思いつきました。

 

例文1 

仕事づくの1週間が終わった週末のことでした。

あなたは部屋に仲間を呼んで、一晩中ブルースを流しながら浮かれ騒ぎました。

 

例文2

恋人から電話がかかってきて、今ブルーな気分だと告げられました。

そこであなたはスパークリングワインを持って、恋人の元に駆けつけました。

 

もし地球のことに精通したエイリアンがいたとして、この2つの例文のどこが奇妙なのか理解に窮することでしょう(笑)

でも地球に暮らす文明人なら皆、承知しています。

青という色は、感情的にふさいで落ち込んでいる状態を意味していること。

ちなみにブルースは悲しみ・苦しみを歌った音楽ジャンルであり、スパークリングワインがお祝いの食前酒であることは言うまでもありませんね。

 

 蒼き恋心

「恋はみずいろ」に話を戻しましょう。

 

幻想的なタイトル、そしてチャーミングな旋律をもったその楽曲。

若かりし日の初恋に似た甘い淡さに満ちたその楽曲。

 

ところが英詞に初めて目を通して、イメージが一変しました。

「恋はみずいろ」=「恋は涙色」というニュアンスだったのです。

 

フランス語版の歌詞では、恋する喜びの部分も描かれているようですが。

いずれにせよ、恋に翻弄される心境が綴られた歌なのですね。

 

最後に英語版の拙訳を載せました。

シンプルながら、五色の恋情を歌った詞を味わってみてください。

 


恋はみずいろ

青ざめた我が世界

あなたなしでは

心ふさぐだけ

 

灰色がかった我が人生

去りしあなた

冷えきった我が心

 

赤く染まった我が瞳

あなたを求め

ベッドに泣き伏す

 

緑色の嫉妬を燃やし

あなたのことを疑った

そして今2人は別れ別れ

 

2人が出会った頃

太陽はなんと輝いていたことか

やがて愛は息絶え

もう虹も消えてしまった

 

私が味わった暗黒の影

あなたを求め

失意と孤独にあえいだ夜

 

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(出典/abstract.desktopnexus.com)

 

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