ヒデキマツバラの猫道Blog

音楽、マインドフルネス、それにユーモアを愛するネコ目線のキャットウォークブログ

新曲「No More Crying」完成までの不思議な導き 〜5/5コンサート音楽制作Part2〜

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ライブ「Made in Sanctuary」より

 

今日のブログでは、最新オリジナル曲「No More Crying」が完成するまでの、ちょっとした不思議について書いていきます。

 

 

もう泣かないで

No more crying

No more fight

No more darkness

Into the light

No more saddness

There's another sky

No more crying

'Cos I love your smile

 

<対訳>

もう泣かないで

もう戦わなくていい

暗闇を抜けて

光の中へ飛び込もう

もう悲しまないで

空なら他にもあるよ

もう泣かないで

だって君の笑顔が大好きだから

 

作詞・訳詞/ヒデキマツバラ

 

コラボレーション

 ダンス好きな僕は、これまでいろんなダンサーたちをライブゲストに招いてコラボしてきました。

ファンク系、ジャズ系、バレエ系。

皆さんそれぞれに物語性を持って、僕の楽曲を新しい視点から解釈して踊ってくださいます。

 

今度5月のコンサートでは、ダンサーのエセニヤさんと共演することになりました。

彼女の専門はベリーダンスになりますが、ジャンルを問わず創作ダンスされてます。

躍動的でありながら、指先1本に至るまで表情を感じさせる表現力豊かな彼女のダンスは、まるで花が踊っているように美しく幻想的です。

 

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最初の打ち合わせで選曲のご相談をしたところ、トランスでいきたいとエセニヤさん。

おぉ、まさしく僕の望むところではないですか!

そこで僕が新たに歌ものトランスを書き下ろし、振付用にデモテープを送る事で話がまとまったのです。

 

歌を作るために絶対不可欠なもの

2月、僕は身悶えしていました。

えぇ、母の介護とコンサート企画が重なり、てんやわんやだった頃です。

 

コンサート企画そのものがまだドロドロで固まりきらないプリン状態でした。

コンサートの顔となるフライヤーのデザイン案すらまとまっていません。

 

隣室には自律神経を患って寝たきりの母。

不安に襲われるたびに「ヒデキさん!」と呼びかけてくる母。

制作の合間、何度も隣室に駆け込む僕。

  

そんな状況下、新たな着想を得て歌を作る気になれずにいました。

新しい音楽を作ることは、新たな生命を生み出すこと。

心にもないことを歌にするほど器用じゃなくて。

 

歌を作る時、絶対不可欠なもの。

それはリアルであること

もしくは真実であること

 

身に覚えのあるリアルな感覚や感情だったり、なにがしかの真実こそが、歌の核となる

それさえあれば、どんなフィクションに発展させようが、ガツンと人の胸に届く楽曲へと育つ

それが僕のポリシーです。

 

刻々と過ぎて行く日々。

困ったな。どうしよう。。。

  

天よ、どうかお導きください。

メロディーの切れっ端だけでいいんです。

新作につながる糸口を授けてください。

 

第一の導き

それはある昼下がりでした。

母が寝入った隙を見計らい、音楽ソフトを立ち上げた僕。

 

ソーソソード

 

それは4つの音符から成るメロディーでした。

耳、というより、心の耳に聞こえてきました。

 

来たぞ!

って思いました。

 

作曲ノートを引っ張り出すことも忘れて、そのまま導きに耳を傾けます。

次に意識が向いたのは「ソーソソード」に乗せる歌詞のこと。

 

このメロディーにふさわしい言葉はなんだろう? 

鼻歌で「ソーソソード」を何度かリピートしてみます。

 

すると突然、僕の口が勝手に開いて、決然と歌い出したのです。

 

ノー・モア・クラーイン〜♪

 

ピタリとメロディーにハマりました。

 

No more crying(もう泣かないで)か。

よし、これで創作の糸口はつかめた。

ここから楽曲本体のテーマを引き出していこう。

 

僕は問いかけました。

なぜ泣いてるの?

泣いてるのは誰なの?

 

「あなたの母」

たちまち答えがもたらされました。

 

導きはさらに続きます。

「目にしているものを歌にしなさい」

 

なんてことでしょう。

歌のテーマを探し求める必要もなければ、頭でひねり出す必要もありませんでした。

すでに僕の日常の中に用意されていたのです。 

 

何週間も母の苦しみを目の当たりにしてきた僕には、何もかもリアルすぎるほどリアルで真実でした。

今だからこそ、それを歌にできる。

というより、今しか作れない歌なんだ!

 

続いて「母親へのメッセージを歌に託しなさい」

とのメッセージを受け取ると、雪崩のように言葉とメロディーが押し寄せて来ました。

 

こうして一息に生まれたのが、冒頭の英詞です。

韻を踏む言葉選びをするのが面白くて、ちょっとした宝探しのようでした。

 

「ソーソソード」が聞こえてからそこまで、時間にしてほんの数分間の出来事でした。

 

曲作りには度々こうした導きがつきものです。

耳には聞こえない音としてもたらされたり、思考としてポンと現れたりします。

 

創作って不思議だなぁ。

創作時間があっても、作れるとは限らない。

創作経験があっても、作れるとは限らない。

導きに対して心を開かない限り、残す価値あるものは何も作れないのですからね。

 

第二の導き

梅の花が咲いた頃、美江先生にお届けしますね」

母と親交のあるエセニヤさんが、親切にも病床へ春の香りを届けてくれたのは、それからほどなくしてでした。

 

「今度コラボする新曲は、母のことをテーマにしたんですよ」 

そう言って彼女に説明する僕の口が、またしても勝手に動き始めました。

 

母は蝶々なんです。

でも今は羽根をなくしてしまいました。

母の思い描く大空を飛ぶことは、もう叶いません。

けれど、母が美しい蝶々であることに変わりはないんだよって。

そんな歌に仕上げたいんです。

 

自分の意思とは無関係に、無心のまま口からツラツラと言葉がこぼれてきます。

へぇ、この歌はそういう歌になるのかぁ、って自分で自分の言うことを客観的に聞きながら感心してました(笑)

 

すごく意外だったのが「蝶々」という発想。

そうか、だから「There's another sky」につながるんだ!

 

There's another sky(空なら他にもあるよ)

これ、作詞してて、ズドーン!スカーン!って僕の心を直撃した箇所なんです。

鳥瞰図のように、なんて大きな視点なんだろうって。

導きのまま書き取ったとはいえ、そういう英語表現って耳にしたことないんですよ。

There's another day(明日があるさ)なら一般的ですけど。

 

そもそも「もう泣かないで」という歌なのに、なぜ空が出てくるのだろう?と疑問でした。

その根拠が、この第二の導きで明らかになったわけです!

 

そういえば母は昔から蝶々モチーフが好きでした。

したためた手紙や封筒の隅に、母はササっと蝶のイラストを書き添えていたものです。

蝶々モチーフで知られるファッションデザイナー、ハナエモリさんの服が大のお気に入りで長年愛用してたり。

それに忘れられないものがもうひとつ。

 

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30年以上前のもので、1部だけ現存してました。

母がデザインした美美の環コンサートのチケットとプログラムです。

なんて母らしいデザインなんだろう(泣き笑い)

 

こうして楽曲コンセプトが固まった僕は、仕上げを目前に、最後の導きを受け取りました。

 

最後の導き

 「泣いてる人たち、泣き出しそうな人たち、すべてに捧げなさい」

 

それは神々しい導きでした。

そう、泣いてるのは僕の母だけではありません。

 

ふるさとを追われた難民。

自尊心を失った高齢者。

トラウマに襲われたビジネスマン。

我が子を処刑された聖母マリア

 

世界中で流されてきた涙は数知れず。

そんな涙によって海が生まれた、とは誰か詩人の言葉だったでしょうか。

 

涙をぬぐう歌にしたい。

そんな想いを込めて、僕は歌詞の中に漆黒の暗闇と一条の光を織り込みました。

刹那の儚さと未来永劫の輝きを紡ぎました。

そして「No More Crying」という歌が完成したのです。

 

クリエイティブパートナー

デモテープができてから、毎週エセニヤさんと稽古に臨んでます。

どんな風に絡めば美しく演出できるか、とか色々と試してます。

 

対等にアイディアを出し合いながら、共にステージをクリエイトしていける人の存在は、すごく刺激になってやりがいあります。

彼女のように異文化をルーツに持つ場合はなおさら、日本人感覚にない発想が出てきて面白い。

 

言いたいことを気兼ねなくポンポン伝え合えるのもラクだったり(笑)

クリエイティブな現場で忖度なんかされたら、面白味のない作品しか作れませんからね(苦笑)

 

ハッピーバースデー

さて、折しも今日4月19日は母の誕生日。

 

「ただ寝ることしかできない人間にも、命の尊厳はある」

 

僕はそう信じて疑いません。

なぜならそういう状態にある母でさえ、こうして大きな慈しみの歌を生み出すのに間接的に一役買ってるのですからね。

 

ハッピー・バースデイ・ディア・マム!

 

PS エセニヤさん、桂子さん、母へのプレゼントどうもありがとうございました!

 

泣きそうなことがあったら

羽根をなくしたの?

 

大丈夫。

 

飛べなくなってしまった、ってわけでもない。

 

さぁ、胸いっぱいに息を吸い込んで。

 

気高さを取り戻そう。

 

そうしたら、心の空を飛ぶことができる。

 

どんな状態であっても。

 

命ある限り。

 

あなたは蝶々なんだから。

 

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DAYBREAKER ヒデキマツバラ by Hideki Matsubara

 

次回公演のご案内です。

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ミュージックハウス美美の環 presents 55th Grand Show
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【日時】2019-05-05(日)11:30〜13:30
【会場】グランドプリンスホテル広島
【チケット】12000円(ビュッフェ料理、飲み放題込み)
【ご予約】info@miminowa.comまでご一報ください