カクテルパーティー ETERNAL SUMMER 前夜。
終日レッスンを終えると、徹夜覚悟で準備に没頭。
会場設営、ドリンク仕込み、新曲仕上げ、DJミックス制作。
黙々と単独作業を続けながら、常に頭の中にあったのは、来場したゲストたちの喜ぶ顔と驚く顔。
午前４時30分。
一段落ついてベッドに潜り込んだ僕は、やがて始まるアリの入る隙間もない１日に備え、仮眠をとった。
弟子のため
コンサートや各種イベントを主催する日は、丸１日スケジュールを確保しておきたいもの。
けれどカクテルパーティーの日の朝に限って、なぜだか別件が割り込んでくる。
６月は、我がスタジオの役員会。
７月は、母が危篤で強制入院。
そしてこの日は、代講レッスンだった。
前の週、29年ぶりに広島へ上陸した台風は、僕のレッスンまで吹き飛ばしていってしまったのだ。
そのレッスンの振替日が、よりによって月のうち最も時間が惜しい日の朝イチに入るとは。。。
それも楽曲制作クラス、みっちり120分間の個人レッスン！
寝不足の目をこすり、キッチンに立ったままサンドイッチを頬張り、アイスコーヒーで流し込んでゆく。
その途端にインターホンが鳴る。
それはさながらウェイクアップコール。
僕はたちまち師の顔になり、弟子を迎え入れる。
熱意ある弟子に、持てる限りの知識と技術を伝授していくと、120分なんてあっという間。
「とても充実したレッスンをありがとうございました！」
喜び勇んで帰っていく彼女から、むしろ大いなるパワーをもらった。
弟子のために開けてあげたこの120分は、結局自分にとってその日最高のエンジンスターターとなった。
ゲストのため
レッスンを終え、ランチをとる間もなくカクテルパーティーの準備。
クーラー全開にしても、汗がダラダラ、髪はグチャグチャ。
ゲストたちの来る時刻が迫る。
乱れきった髪を直す時間さえない。
絶体絶命！
救いを求めて飛びついたのが、クロゼットの引き出し、
取り出しましたるは、バンダナ。
いざという時のカモフラージュ。
おかげで醜態をさらすことなく、来客のお出迎え。
何事も、大変なのは始まるまで。
始まってしまえば、あとは波に乗っていけ。
親密な時間の中、ゲストたちにスペシャルな喜びと驚きを提供していく。
カクテルで、フードで、サウンドで、トークで、歌で、場の雰囲気で。
過ぎてみれば、120分のパーティーなんてあっという間。
申し分なく、当日のメインイベントは幕を閉じたのだった。
親のため
パーティーを終え、車を飛ばして向かったのは、母の入院先。
情緒不安定な状態に陥ってる母のため、連日着替えや差し入れを持って顔を出すようにしてる。
が、この週末２日間ばかりはスケジュール的に行けそうにないかも。
そう伝えてあったものだから、僕の顔を見た母の喜びと驚きときたら！
「ひーくん！ ひーくん！」
いつも母は僕を「ヒデキさん」と呼ぶのだけど、よほど嬉しかったのだろうね。
「来てくれたの!? うれし〜！ うれし〜！」
まるで子供のように連呼していた。
「ありがとう、優しいのね」
僕は男だから、親から面と向かってそう言われると、くすぐったくて仕方なかった。
自分自身のため
「よくやったよ」
その夜、帰宅した僕は、37度のお湯に浸かりながら自分をねぎらった。
ただでさえレッスン続きで、スケジュール過密だったお盆連休。
その最終日、誰かの喜びのために、可能な限り動き尽くした１日。
弟子のため、イベントゲストたちのため、そして母のため。
いつのまに意識が途切れたのか。
気づいたら湯船の中で眠っていた。
夕食はパスタ、かな。
食べたら、すぐ寝よ。
お風呂上がり、ひたすら無心にパスタ作り。
12 時間ぶりの恵みに感謝して「いただきます」
遅めのディナーを口にしたその時だった。
思いがけず、自分のための時間がもたらされたのは。
（続く）
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DJヒデキマツバラ presents カクテルパーティー
SENSE of WONDER
【Date】2019-09-15（Sun）14:00-16:00
【Place】美美の環スタジオ
【Admission】¥2500（with Special Cocktail & Tapas）
【Performance】DJヒデキマツバラ／MAYUMI／コンスタンツェ／SAM
【Reservation】info@miminowa.com（９／８予約〆切）
深海の神秘を描いた音楽絵画「アクアダイブ」
