主役はサソリ座
いよいよ今日です!
サソリ座が主役のカクテルパーティーコンサート「スコーピオ・ライジング」
なにしろアクの強いテーマなので、準備もノリノリでして^^
飾りつけから小道具、食器等、個性的なしつらえに!
オリジナルカクテルの創作に向けて「ドラキュラの血」という名のドイツ産リキュールをお取り寄せ。
これが濃密に甘く、刺激的に辛いという珍品!
そこに合わせようとしてるのが、これまた珍しいトマトのリキュール。
想像を絶する爽やかな味に仕上げてまいります^^
ライムから生まれるリズム感
パーティーと同タイトルの新曲「Scorpio Rising」も完成しました。
勇者オリオンの天敵サソリ座をコンセプトにした、一風変わったラブソングです。
作詞するのはこれで96作目。
全編英語で作詞した作品としては6作目を数えます。
英語で歌詞を作ることの面白さ。
それは
ライムを踏むセンスが試されること!
ライム(rhyme)とは韻のこと。
韻を踏むこと(=ライミング)によって、歌詞にリズム感を出します。
一般的なのは脚韻(きゃくいん)で、行の最後の発音をそろえるのがポイントです。
例えば、最後がme(ミー)だったら、次の行かその次の行の終わりに
see(シー)be(ビー)happy(ハピー)lonely(ロンリー)candy(キャンディー)等、
同じライムをもつ言葉が並びます。
light(ライト)だったら
night(ナイト)fight(ファイト)tight(タイト)sight(サイト)height(ハイト)might(マイト)など。
歌に限らず、ライミングは西洋詩歌の基本中の基本。
俳句が五七五であるように、ライミングが作品全体のリズム感を支配します。
凝ったライミングにチャレンジすればするほど、相乗効果で文学性が高まっていくのも興味深いポイントですね。
サソリの毒
「Scorpio Rising」制作に着手したばかりの10月初頭。
まだ具体的なテーマを見つけられずにいた僕は、遊びで脚韻集めを始めました。
ギリシア神話の中で、勇者オリオンはサソリの毒にやられます。
そこでまず「ポイズン」という単語が気になりました。
ライムの共通する単語を羅列していった結果、
poison(ポイズン)=毒
horizon(ホライズン)=地平線
golden(ゴールドゥン)=黄金
heartbroken(ハートブロークン)=失恋した
frozen(フローズン)=凍らせた
stolen(ストールン)=盗まれた
season(シーズン)=盛り(さかり)
enlighten(エンライトゥン)=啓発する
ざっとこれだけ出てきました。
するとランダムに集めたこれらの言葉から、ドラマが浮かび上がってきたのです!
痛烈に恋に破れた男の物語が。
こうしてサビ部分の歌詞が一気に完成してしまいました。
言葉から物語が引き出されていったわけですね。
とても新鮮で創造的な体験でした。
作詞の極意
僕が作詞レッスンで教えているベストな作詞法は、次の手順通りです。
テーマ設定 → 物語/舞台背景設定 → 言葉探し
小説の作り方と全く同じですね。
映画作りにも似てます。
原作 → 脚色/演出 → スタッフ選出/役者キャスティング
外枠から作っていくことで、絵画を描くように奥行き豊かになり、緻密で印象的な世界観が作れます。
こういう作り方をすると、人の共感を集める作品に仕上がりやすくなります。
一方、この度の制作プロセスは真逆で
言葉探し → 物語/舞台背景設定 → テーマ設定
言葉先行で物語を引き出していくと、デザイン感覚で歌が作れます。
そのコラージュしたような世界観は、鑑賞する人によって印象が異なり、千差万別でユニークな解釈を生み出します。
ただし作詞経験の浅い人が、いきなり言葉先行で作り始めるのは危険です。
独りよがりな歌になるか、未完成のまま終わるか、数曲でネタ切れになってしまいます。
歌を書くことは、短編小説を書くようなもの。
まずテーマを設定していくことから始めてみてくださいね。
印象的な歌世界がいくつも作れるようになりますよ。
勇者オリオンと海神ポセイドン
その後も新曲制作は、ことごとくライムを踏みつくしながら進めました。
次に取り組んだ単語が「オリオン」
脚韻が込み入ってる分、挑戦しがいがあります。
Orion(オライアン)=オリオン
lion(ライアン)=ライオン
iron(アイアン)=鉄
giant(ジャイアント)=巨人
オリオン、ライオン、鉄、巨人。
韻を頼りに、脈絡なく思いついた言葉です。
ところが偶然って恐ろしいもの。
神話の中で、オリオンはライオンを退治しました!
さらにオリオン自身、巨人なのです!
つまり神話的には完全に意味が通った言葉が集まったと!
オリオンは海神ポセイドンの子。
なので、そのライムも列記していったところ、
forbidden(フォービドゥン)=禁じられた
Eden(イードゥン)=エデンの園
わ! こうなると創生神話まで歌世界に絡められそうですね♪
そのほか徹頭徹尾ライミングを駆使しながら作詞すること、実に34行。
「Scorpio Rising」は完成しました。
韻が悩みをもたらし、救いをもたらす
作品の中の韻について、人の間で話題にされることは滅多にありません。
話題にするより、味わうべきものなのでしょうね。
だからなおさら、韻についてアーティストが語っているエピソードは深く印象に残ってます。
僕が知ってるのは2つだけですが、今日の締めくくりにご紹介しますね。
マドンナ「Truth or Dare」
ひとつめは、マドンナのドキュメンタリー映画「Truth Or Dare〜イン・ベッド・ウィズ・マドンナ〜」から。
ワールドツアーの真っ最中、マドンナは誕生日を迎える女性スタッフに捧げる詩を作ろうとして行き詰まります。
「タランチュラ(毒グモ)と同じ韻を踏む言葉って他にあったかしら?」
そう言ってその日ずっとマドンナは「見つからない、まだ見つからない」と悩み続けるのです(笑)
なんとも心温まるエピソードですよね。よりによって数十万人のファンが駆けつけるツアーの最中、わざわざ時間を割いて一人のスタッフのために詞を作って捧げるなんて!
そしてマドンナのようなスーパースターでも、誕生会で朗読するだけの詩の脚韻探しでずっと頭を悩ませるなんて、なんだかユーモラスでお茶目^^
映画の中で特にお気に入りのシーンです。
アニー・レノックス「Bare」
もうひとつのエピソードは、イギリスを代表するベテラン女性シンガー、アニー・レノックス。
凛々しくて芯の強そうなアニーですが、3枚目のソロアルバム「Bare〜素顔〜」では痛々しく繊細な収録曲が並びました。
制作インタビューで彼女はこんな風に語っています。
「私生活で味わった悲痛な思いを作品化するのはとても惨めでタフな作業だった。けれど作詞で脚韻選びに夢中になっているうち、ネガティブな想いがクリエイティブに昇華され、心底救われたのよ」
アルファベットで詩を紡ぐ以上、韻がなくては始まりません。
それが、時として作家やアーティストたちを悩ませ、時として彼らを救うのですね!
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全面すさまじく赤一色に染まったオリジナル曲「チェックメイト!」
CHECKMATE! ヒデキマツバラ by Hideki Matsubara
DJヒデキマツバラ presents カクテルパーティー
SCORPIO RISING
〜スコーピオ・ライジング〜
【Date】2019-11-17(Sun)14:00 - 16:00
【Place】Miminowa Music Studio
【Admission】 ¥2750 (with Special Cocktails & Sweets)
【Performance】DJヒデキマツバラ、MAYUMI、コンスタンツェ、SAM
【Reservation】DJヒデくん 又は info@miminowa.com までご連絡ください(11/12予約〆切) ご予約お申し込みありがとうございました!