ヒデキマツバラの猫道Blog

音楽、マインドフルネス、それにユーモアを愛するネコ目線のキャットウォークブログ

立春の朝の出来事 - Morning At The Beginning of Spring -

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オリジナルミュージカル「サンタからの手紙」でピアノを奏でる母、松原リディア美江

 

今日は前回記事からの続きです。

hidekimatsubara.hatenablog.com

 

 

母との合作

2月3日、節分の夜。

ひとりぼっちで豆まきを済ませた僕には、日付が変わらぬうちにやっておきたいことがもうひとつありました。

 

母と共作した歌をYouTubeにアップしよう。

 

母と息子で音楽を合作するのは、なかなか珍しい事かと思います。

しかもその数、20曲以上!

 

その中から、旅立っていった母の人となりを偲ぶなら、この曲だと感じました。


I LOVE 平和大通り by ミュージックハウス美美の環 松原リディア美江 ヒデキマツバラ

 

緑あふれる広島の平和大通りの四季を愛した母。

その移ろいゆく自然の美しさと営みを描いた歌「アイラブ平和大通り

 

この作品には、キラキラした命の輝きだけではない。

どこか命のはかなさを感じさせる無常感に満ちています。

 

夢の音楽会

翌2月4日、立春の朝。

母が亡くなって丸2週間。

 

夢の中に初めて母が出てきました。

 

母は夢の中でも相変わらず、レッスン室でピアノを弾いていました。

元気だった頃となんら変わらない姿で。

 

フランス人形のような髪型と洋服。

そしてトレードマークの帽子。

 

そこは優しい光に溢れた、我が家のレッスン室でした。

夢の中でも母は次のコンサートに向けて、様々なレパートリーを奏でていました。

 

夢とは思われぬ光景でした。

おととしの冬に母が寝たきりになる以前までと変わらぬ、ごく自然ないつも通りの日常。

 

そんな当たり前の日常が、これほど特別なものだったなんて。

母が亡くなって初めて気づかされました。

 

母の奏でる、澄んだピアノの音色。

指先の繊細なタッチから編み出されるその響きは、夢の中でも優しく透き通っていました。

 

この世で一番美しい夢

夢の音楽会。

その最後で母は、僕が聴き馴染みのない曲を弾き始めました。

 

どうやら新たに作曲したピアノ曲のようです。

母にしては少し変わった旋律ながらも、情感のこもった母らしい作風でした。

 

母が元気だった頃、特にここ5〜6年、こんなことが往々にしてありました。

母がピアノの練習をし始めます。

えも言われぬ優美なメロディーが僕の部屋まで聞こえてきます。

僕はいてもたってもいられません。

やおら立ち上がるとレッスン室に入っていき、母の作曲ノートをのぞき込みます。

「そのメロディーいいねぇ」そう言って感想を伝えるたびに、母は「そぉ?」と嬉しそうでしたっけ。

 

この夢の中でも、僕はそれと同じことをしました。

母の肩越しに、譜面台に乗っている作曲ノートを覗き込んだのです。

 

すると、印象的なタイトルが目にとまりました。

今思い返してみても、これほど奇跡的に美しい夢はかつて見たことがありません。

なぜなら、その曲には「ありがとう」というタイトルが付けられていたのですから!

 

それは一体、何に対しての「ありがとう」だったのでしょう?

 

「アイラブ平和大通り」ライブ動画を公開したこと?

今年もちゃんと節分に豆まきしたこと?

この13ヶ月間、母の世話と仕事の引き継ぎに尽力したこと?

ずっと一緒に暮らしながら、夢を紡ぐ仕事を共にしてきたこと?

母の息子として生まれたこと?

母を愛し続けてきたこと?

 

夢のフィナーレ

夢はそれだけで終わりませんでした。

この美しい夢を締めくくる、さらに美しいフィナーレが用意されていたのです。

 

「ありがとう」という新曲を弾き終えた母は、自分の部屋に戻り、布団の中に収まりました。

そして母は僕をまっすぐに見て、にっこりと微笑んだのです!

 

そこで目を覚ました僕。

病床では一度も見ることのなかった母の笑顔。

泣けて泣けて仕方ありませんでした。

 

立春の光

暦の上では春になりました。

 

「ヒデキさん、今日の陽射しを見てごらん!」

毎年2月4日の立春を迎えると、母は必ず発見しました。

 

「光がね、春の色になったのよ!」

母の顔まで嬉しさで輝きます。

 

「まだ地面は冷えてるのにね、不思議。立春とはよく言ったものねぇ」

そう言って、新しい季節の息吹を胸いっぱいに吸い込むのです。

 

音楽と同様、大気や光にも変化を感じる感受性豊かな母。

そんな母に産み育てられ、人生の大半を共に共有して来られたことは、なんと恵まれていたのでしょう。

 

今年は、春の訪れを待たずに旅立ってしまった母。

この光の中で、再びピアノを弾かせてあげたかった。

 

そうさせてあげられるはずだったのに。。。

母の死に対して責任のようなものを感じ続けた2週間。

胸がえぐれるほど惨めだった2週間。

 

そんな僕に、夢の中で特別な音楽会を開いてくれた母。

立春の光が届けてくれた、母からの感謝。

 

それは慰めであり救いでした。

やっと春を迎えられそうです。

 

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DJヒデキマツバラ presents カクテルパーティー
SPELLBOUND 

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【Date】2020-02-16(Sun)14:00 - 15:50
【Place】Miminowa Music Studio
【Admission】 ¥2750 (with Special Cocktails & Sweets)
【Performance】DJヒデキマツバラ、MAYUMI、SAM
【Reservation】ヒデキマツバラTwitterまでご連絡ください(2020/02/07ご予約〆切)SOLD OUTになりました。ご予約お申し込みありがとうございました。