みなさん、その後お元気でお過ごしですか?
僕は変わりなく、とぇーい!と張り切って毎日をズンズン生きてます(笑)
あれからレッスン生の半数がネットに移行しまして、幸先よくオンラインレッスンがスタートしました。
さて、すっかりブランクがあきましたが、今日は黄金山シリーズの完結編です。
初めての黄金山・・・少年時代
hidekimatsubara.hatenablog.com
再び黄金山へ・・・母の死後
hidekimatsubara.hatenablog.com
新色
4月に入って一番に行ったところ。
それはヘアサロン。
カット&カラー。
まず気分を一新するにはこれだね。
「ピンクっぽい色で」
桜の季節に合わせてリクエスト。
新色のパープルガーネットに染め上がった髪。
いいこと起きそうな予感がした。
春風
「気晴らしに桜を見に行きませんか? よかったら車でお迎えに行きますよ」
そういってメッセージをくれたKさん。
母が亡くなって2ヶ月余り。
昇天記念日(仏教でいうところの49日)を終え、香典返しの挨拶回りが一段役ついた矢先だった。
「じゃあ僕、何かつまめるもの用意しときますね」
二つ返事でOKした。
春風がほしかった。
薄紅色
「そんなに!?」
迎えに来たKさんが、小脇にクーラーボックスを抱えた僕を見て笑う。
カルディで色々と物色してたらそうなった。
春の野外、それもスナックタイムときたら、ついそうなっちゃうよね。
4月の昼下がり。
雨雲の狭間を縫うように、その日は絶好のお花見日和。
黄金山は登り口から桜が見事に咲き誇っていた。
そのままずっと山道沿いに桜並木が続いてゆく。
まるで山全体が薄紅色に化粧したようだ。
三たび訪れることになった黄金山。
小六の頃とも、Tちゃんの時とも違う、新しい表情をたたえて僕を迎えてくれた。
桜前線、停滞中
桜の天蓋をくぐり抜けながら、頂上目指してドライブする僕ら。
意気揚々と車を走らせていたKさんだったが、やがてとんでもない光景を目にした。
行く手に連なる数十台もの車、車、車!
「平日こんな混んでるなんて初めて!」
いつになれば駐車スペースまでたどりつけるか、心もとないKさん。
その傍、僕は一休さんのごとく。
あわてない、あわてない。
だってほら、車の中からでもお花見できるんだから。
車窓を流れてゆく桜吹雪。
その向こうには、春光が照らし出す幻想的な市街地と海。
これで何の不足があろう?
そのまま駐車場に落ち着くまでの半時間近く。
ポカポカひなたぼっこしながらおしゃべりに興じた。
桜吹雪の上で
車から降りると、風はまだ冷たかった。
でも増築工事されたばかりの展望台に登った途端、僕は桜と遊ぶ風に同化した。
とてつもなく高い青空が眩しい。
あ、あそこ、見て!
薄いベールのような巻層雲よりもっと高いところ。
雲よりおぼろげな色をした、米粒より小さな飛行機が飛んでゆく。
さてと、あいたベンチに腰掛け、取り出しましたるは我がクーラーボックス。
紙皿にお菓子を盛り合わせ、氷の浮かんだ炭酸ドリンクをどうぞ。
これだよ、これ。
花も団子もなきゃ、ね。
ご覧の通り黄金山のトップまで来ると、桜は眼下に位置することになる。
そうなると桜吹雪の向きも変化する。
上から舞い降りるのではなく、ダイナミックに下から舞い上がって来るのだ!
その中の一枚が、偶然にもKさんの紙コップめがけてヒラリ。
春一番の幸福を飲み干したKさんであった。
Kさんからは3月に音楽制作を依頼されたばかり。
お花見の間、いろんなことに話題が及ぶ中、僕は密かに楽曲アイディアを集めていった。
夏の完成を目指してる。
黒猫展望台
頂上から少し歩いていたら、下の小道に黒猫がいた。
もう一つの展望台へ移動すると、そこにもまた別の黒猫が。
うちのマックそっくりなんだ、これが。
キミもお花見してたんだね。
再生
空の下へ出るのって気持ちいい。
高い山へ登るのって気持ちいい。
カゴの中の鳥は、新鮮な空気を求めてた。
カゴの中の鳥は、春風の友達を求めてた。
薄紅色の黄金山。
訪れるたびに光も色も印象も変えては、僕の心象風景をなぞる山。
3度目の黄金山は、僕の息をふき返してくれた。
(終)
代表作「アクアドット」の序章になった「The Sound of Rain」
近々詳しく書いていきます!