2回にわたってオリジナルソング「The Sound of Rain」制作エピソードを綴ってきました。
最終回の今日は、制作プロセスに決定的な影響を及ぼした有名人のことからお話していきましょう。
The Sound of Rain 制作エピソード1
hidekimatsubara.hatenablog.com
The Sound of Rain 制作エピソード2
hidekimatsubara.hatenablog.com
雨音ヒロイン
唐突ですが、僕が生まれて初めて夢中になったアイドルがいます。
それはアニメ「ハイスクール奇面組」主題歌を歌った「うしろゆびさされ組」
おニャン子クラブから生まれた二人組で、会員No16高井麻巳子さんと、会員No19ゆうゆこと岩井由紀子さんによるユニットです。
ゆうゆのことは去年ブログ記事にしました^^
hidekimatsubara.hatenablog.com
そしてこちらが今日ご紹介する高井麻巳子さん。
まだまだ子供だった僕には、優しくて笑顔が素敵な憧れのお姉さん的存在でした。
僕以上に高井さんに憧れていたのが、妹だったり。
あれから何十年、高井さんが不意にひょこっと僕の作品に顔を出したのです。
それは「The Sound of Rain」の制作、初期段階のこと。
まるで空耳のように、僕の心の耳に聞こえてきたのが、高井さんの歌声でした。
今まさに生まれようとしている僕の歌を、高井さんが口ずさんでくれているのです。
そんなことから、当初この曲はトランスではなく、80年代風の8ビートで編曲していました。
声だけではありません。
たおやかで良家のお姉さん的な人柄や物腰も、この曲のイメージ作りに一役買ってくれました。
作詞していて、あ、高井さんだ!って直感した歌詞があります。
それがこちら。
ひと雨ごとに 君に近づく
ひと雨ごとに 愛に近づく
恋する相手に向かって一気に熱烈に急接近するのではなく、ひと雨ごとに近づいてゆく。
その奥ゆかしさが高井さんらしいなって。
それにしても、なぜこんなに「The Sound of Rain」は高井さんのイメージに直結してしまうのだろう?
雨音ソング
そう考えてピンときました。
彼女の持ち歌には、幸せな雨の名曲がいくつもあるのです。
雨音ヒロイン、高井麻巳子さん。
そんな彼女の歌を3曲ほどご紹介しましょう。
アンブレラ・エンジェル(高井麻巳子 with おニャン子クラブ)
アンブレラ・エンジェル (Umbrella Angel) - おニャン子クラブ (Onyanko Club) - 1986年 (セカンドアルバム『夢カタログ』収録曲)
おニャン子クラブ2ndアルバム「夢カタログ」収録曲でありながら、40曲以上ある高井さんソロ楽曲の中でもトップクラスの人気を誇る楽曲。
その魅力は、歌の中に描かれた無言劇のような愛らしい物語。それが高井さんの清楚な歌声と人柄にマッチして、清々しく情感豊かな短編映画風に仕上がっています。
歌詞の内容をかいつまんで説明すると、主人公は男子大学生。突然降り出した雨のバス停でずぶ濡れになっていたところ、通りすがりの小さな少女が優しく傘をさしかけ、バスが来るまで一緒に佇んでくれたのでした。
作詞を手がけているのは、この2年後に高井さんと結婚することになる秋元康さん。
そういえばこの曲にも「RAIN, RAIN, RAIN」って歌詞が登場するんですよね。結果的に全然無意識のまま僕の曲に借用させていただいてました^^
情熱れいんぼう(高井麻巳子)
おニャン子卒業直後の5thシングル。ソロ曲としては初のアップテンポな楽曲で意表をつきました。
つぶらな眼差しで七色に恋するキラキラ感が伝わってきます。
特に雨にまつわる内容でもないのだけれど、梅雨の時期にリリースされたこともあって、雨上がりの歌という印象が強いんでしょうね。
夕やけニャンニャン出演時。まさに当時見てました!
テンダー・レイン(高井麻巳子)
7thシングル。この半年後に電撃引退しちゃいました。
「ひと雨ごとに春に近づく」「ワルツみたいに歌う雨音 髪に指にこぼれる」「過去と未来へ二人導く 踊る雨の音符」など、心象風景を描き出した歌詞がすごく好きで、昔からずっと口ずさんでた1曲^^
この幸せな雨物語のイメージが、21年後、僕の潜在意識で結実してアクアボーイを生み出したんですね。
こちらはミュージックステーション出演時。これもリアルタイムで見てました!楽曲の世界観を反映した幻想的な舞台セットが素晴らしくて、今見ても感動しちゃいます。
このほかにも高井さんの楽曲にはグッとくる歌詞が多いんですよ。
いつかまたブログ記事で紹介していけたらなと思っています。
雨音イマジネーション
こうして「The Sound of Rain」のルーツを辿っていくと、子供時代のアイドルから、青春時代のトランスまで様々ですね。
いつかバンドを組むことがあったら、80年代風に「The Sound of Rain」をセッションしてみたいなぁなんて思ったり。
さてこの曲をステージ上で披露したのは、9年前のライブ「FALL IN LOVE」第二部のド頭でした。
THE SOUND OF RAIN ヒデキマツバラ by Hideki Matsubara
この曲の演出では、ひとつこだわりがありました。
動画ではカットしてるんだけど、ライブ会場の客電が落ちてから第二部の幕が上がるまでの1分近く、真っ暗な会場で雨音だけが鳴ってるんです。
この雨音からどんなストーリーが生まれて来るのかな?
そんな風に観客のイマジネーションを喚起させたくて。
雨音にも色々あるものです。
ザーザー、サァー、ポタポタ、ポチポチetc
それも道端で、水たまりで、緑の中で、軒下で。
雨量によって、集音マイクの位置によって、雨音も千差万別。
ライブ冒頭の雨音ひとつ選ぶのにも、いろんなサンプルを視聴しました。
YouTubeで漁ったり、音響スタッフさんに相談したりしながら。
雨音ギフト
雨音ってね、空からの贈り物なんです。
だから僕は大好き。
鼻先で受け止めるのも、両腕で受け止めるのも。
3回にわたって書いてきた「The Sound of Rain」制作秘話。
もう10年も前のことだけど、制作過程のことは今でも鮮やかに蘇ります。
幸せな雨音は、いつになっても耳に心地よいもの。
あなたは雨音からどんな物語が見えてきますか?
そこからどんな音楽が聞こえてきますか?
いつかこっそり僕に教えてくださいね。
■今月のライブ動画■
母のピアノと共演したポール・モーリア作品です。