4月19日、僕の母であり、美美の環スタジオ創立者である松原リディア美江を偲ぶ会 Heaven Scent を開催しました。
コロナ禍による緊急事態宣言を受け、一時は中止や延期も考えました。
でも母があのまま生きていれば、満75歳の誕生日を迎える日。
どうしてもお祝いしてあげたい。
そこでお申込みいただいていたご予約を全てキャンセルして、自分一人で開催することにしたのでした。
参加者こそ誰もいませんが、母の生誕記念祭に変わりありません。
そこに母を招いているつもりで、その日は朝から準備に勤しんだのでした。
四元素 - Four Elements -
母を偲ぶ会 Heaven Scent のコンセプトは「四元素」
四元素とは
・地
・水
・気
・火
のこと。
かつて科学が発達する以前、この世は全て、4つの元素から成り立っていると考えられていました。
例えば人間の場合だと、
・地=肉体
・水=血液
・気=呼吸
・火=霊魂
今回のイベントでそれぞれが象徴していたものは
・地=花
・水=花にやる水
・気=インセンス(お香)
・火=キャンドル(ロウソク)
ちなみに言うと、上記4ついずれも、お墓参りに必須なものであることにお気づきでしょうか?
不思議なことに、科学時代の現代においても洋の東西を問わず、人を供養する際には「四元素」がキーポイントなのですね。
地 - Earth -
この日の朝、まず僕がしたこと。
それは野の花を摘みに行くこと。
母は花が大好きな人でした。
音楽に限らず、デザインや絵画の才能を持ち合わせていた母の感性は、その原点が県北の田舎育ちにあったようです。
野の花々に囲まれて育った子供時代。
花嫁修行で生け花を習った学生時代。
それでフラワーアレンジはお手の物だった母。
よく花屋に出かけては、色とりどりの花が我が家を彩ったものです。
玄関からレッスン室、それに父の仏壇まで。
母はたまに、そばの河原で野の花を摘んでくることもありました。
そして素朴なシロツメグサなどを、小さなコップや花瓶に活ける。
さりげなく、愛らしく。
それだけで家の中がアメリカンカントリー調の風情をたたえました。
まるで赤毛のアン時代にタイムスリップしたようで、心ときめかされたものです。
そんなことを思い出しながら、僕も河原で花々を摘みました。
その花びらの色合いは、母が祖母から譲り受けた記事をリメイクして作ったサマードレスを彷彿とさせました。
水 - Water -
さて、摘んだお花を、どう飾ろう?
テーブル中央にひとまとめ、ではありきたり。
そこで、お水を入れたショットグラスに一輪ずつ挿していきました。
これを時計状に並べてみたら面白いかも。
気 - Air -
イベントタイトル Heaven Scent は「天国の香り」の意。
臨死体験者の証言を調べてみたところ、実際天国には香りがあるそうですね。
それはなんとも芳しい花々の香りみたいですが。
では香りは何を使って表現しよう?
先月「桜」をテーマに開催したカクテルパーティーでは、桜のディフューザーを用いてスタジオ中を香らせました。
今回は四元素のひとつ「気」を感じさせるものにしたい。
煙たなびくインセンス(お香)がふさわしいでしょう。
さて、僕はちょっとしたインセンスマニア。
世界中から集めた100種類以上のお香を常備してます。
このイベントで焚いたのは、オウロシカのバニラ香。
場を浄化しながら、空間だけでなく自分の気をレベルアップしたい時に使う、特別なお香です。
不思議なことに、このお香は煙が二色に分かれます。
さらに不思議なことに、その煙はまるで意識を持った生命体のように立ち昇って行くのです。
それでこのお香だけは焚きながら見つめてしまいます。
気力が衰えて魂まで枯渇してしまった時なんて効果抜群!
火 - Fire -
四元素の中で唯一特殊なもの、それが火です。
地、水、気は、ひとたび汚染されると清浄化させることは不可能、廃棄するしかありません。
ところが火だけは汚れることがなく、つねに光や熱と共に清い状態です。
テーブルセッティングでは、キャンドルを中心に据えることにしました。
細かいミラーが散りばめられたキャンドルホルダーにセットして点火。
儀式において、火はとても重要な意味を持ちます。
火をつけることは、始まりの合図。
そして火を消すことは、終わりの合図。
つまり火は、誕生と死の両方を象徴しているのですね。
ドリンク & スイーツ - Cocktail & Tarte -
当初の企画どおりのメニューも用意しました。
シャーリーテンプルとフルーツタルトです。
様々なレシピがありますが、今回は自分なりに工夫して、
・ライムソーダ
・グレナデンシロップ(ザクロのシロップ)
・生のオレンジ果汁
で作ってみました。
こうして四元素を踏まえ、仕上がったテーブルセッティング。
「まぁ、素敵ね!」
そう言って喜ぶ母の顔が見えるようでした。
■今月のライブ動画■
母のピアノと共演したポール・モーリア作品です。