ヒデキマツバラの猫道Blog

愛猫家ミュージシャン、ヒデキマツバラの猫道(キャットウォーク)ブログ

ステージには魔法がかかっている 〜舞台演出の面白さ〜 - Dancin' in the Light -

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ヒデキマツバラLIVE「Made in Sactuary」より「Blue Manhattan」

 

 

舞台演出家のお仕事

僕はシンガーでもダンサーでもありません。

が、舞台監督であり、舞台演出家です。

自分のライブに関しても、舞台構成や演出振付を緻密に組み立てていきます。

 

歌のこのタイミングで左足から出る。

真上に上げた片腕を軸に180度回転する。

ステージ要所への歩数と移動時間を把握する。

など、動きや場渡りに関することは序の口。

 

姿勢は? 立ち方は? 表情は? 視線は?

曲の内容やテーマごと、舞台俳優のように事細かに設定していきます。

 

感情が宿る場所

表情ひとつとっても色々あるものです。

顔の表情はもとより、目の中の表情、そして指先の表情まで。

そこに表情がつくことによって、リアルさが生まれます。

 

ステージでは体全体が表現媒体。

僕の経験上、とりわけ顔や指のように、先端へ行くほど感情表現を司っている気がします。

 

特に指先だけで感情表現ができるようになると、芸術性やエンターテイメント性までグッと深まります。

指先が意識できていない限り、顔を作っただけの操り人形にすぎません(笑)

 

上半身が表情なら、下半身は技。

上半身の表情を担う根幹なので、どういう技で支えて行くかが大切です。

例えば足元を見ずに暗がりの階段を駆け下りていく技なんて、ちょっとした忍者かもしれません(笑)

 

こうして事前の稽古で、一挙手一投足に到るまで固めた上で、ライブ本番に臨みます。

何しろステージでは歌を歌ってピアノも弾くわけですから。

 

ひとたび開演すれば、頭の中にあるのは1〜2時間もの舞台進行を突き進んでいくことだけ。

おかげで緊張してる暇がありません(笑)

 

ステージの魔法

さて、緻密に舞台演出を組み立てても、本番で筋書き通りに進行するとは限りません。

なぜなら舞台こそ、人智の及ばぬところ。

そこには魔法がかかっている領域なのですから。

 

例えば「ブルー・マンハッタン」をパフォームした時がそうでした。

世界の中心地ニューヨークで夢破れた若者のことを綴った歌。

 

その間奏部分で、僕はステージ後方へと移動します。

ダンスビートがフェードアウトしていき、滲んだピアノ音がステージを満たしていく。

その中、僕は右腕を天に向けて差し伸べる。

それは「手を伸ばしても届かなかったアメリカン・ドリーム」の象徴。

 

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しかしこの日の本番で、舞台照明さんが放った一筋の光が、僕のハートを貫きました。

その光を全身に浴びた途端、僕の体に魔法がかかったのです。

 

すると無意識のうちに、体が勝手に動き出したではありませんか。

天から射すその光を、僕は手のひらで握りしめて掴む。

 

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それを喉元まで持って行く。

ゆっくり首(こうべ)を後ろに倒すと、祈るように瞳を閉じる。

 

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演出プランにないこの一連の動作で、一体何を表現したのか?

自分でも正直わかりません。

でも疑う余地なく、僕は即興的に光とコラボしたのです。

 

このライブでは初めてLED照明を取り入れたこともあり、僕の金髪とコスチュームが醸し出す赤・黄・青の対比が印象的に浮かび上がりました。

三原色の光と陰がコントラスになった、絵のようなシーン。

この日一番のお気に入りショットになりました。

 

呪縛をほどく聖域の光

舞台照明は目がくらむから苦手、というアーティストは少なくありません。

でも僕は逆です。

 

舞台照明が入って初めて、地上の呪縛から解き放たれます。

歌の権化と化し、鳥のように自由に表現できます。

それは本物の自分自身と出会える瞬間。

 

だからこそ、自分はステージの上で歌って踊ることを選んだのかもしれません。

シンガーでもダンサーでもないのに。

 

舞台とは魔法のかかる場所。

それは身体で表現することの可能性に満ちた聖域なのかもしれません

 

最後に、その魔法がかったアドリブシーンを動画でご覧いただきましょうか。

2分55秒あたりからです。

 


BLUE MANHATTAN ヒデキマツバラ by Hideki Matsubara

 

Down, down, down, down, down, down, down, down

Down, down, down, down, down, down, down, down

 

雨に消えたイエローキャブ

滲む街よ

遠ざかってゆく摩天楼

ハート残し

 

見上げた頬

雨が降る

 

Down, down, down, down, down, down, down, down

Down, down, down, down, down, down, down, down

 

夜明け前のJFK

蒼いシルエット

夢が咲いて 風に散って

天空の彼方

 

瞳閉じて

雨が降る

 

Down, down, down, down, down, down, down, down

Down, down, down, down, down, down, down, down

Down, down, down, down, down, down, down, down

Rain falling down

Down, down, down, down, down, down, down, down

Rain falling down

 

Down, down, down, down, down, down, down, down

Down, down, down, down, down, down, down, down

Down, down, down, down, down, down, down, down

Rain falling down

Down, down, down, down, down, down, down, down

Rain falling down

 

作詞・作曲・編曲/ヒデキマツバラ

 

 

今月のライブ動画

夏目前! 新しいライブ動画アップしました。


SEVEN SEAS ヒデキマツバラ 〜七つの大海〜 by Hideki Matsubara

 

■ヒデキマツバラ最新プロデュース作■

こもれび(作詞・作曲/コリ和弥 編曲/ヒデキマツバラ)


こもれび