ヒデキマツバラの猫道Blog

ドラネコ目線でサウンドクリエイターの日常に潜む笑い、癒し、気づき、魔法をつづったキャットウォーク・エッセイ

失って初めてわかる母性愛 〜母胎という名の宇宙を奏でたオリジナル新曲『MOTHERHOOD』制作秘話〜 - From Universe With Love -

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幻想的なパフォーマンスを見せるエセニヤさん(美美の環ミュージカル『音楽名曲物語』)

 

僕の最新オリジナル曲『Motherhood』

マザーフード=母性愛

 

この夏に完成したその曲は、Catwalk Records Japan 3組目の所属アーティスト、エセニヤさんからの依頼で制作したもの。

今日の記事では、そのことをメインに書いていきます。 

 

 

10年目 - A Decade -

創作ダンサー、エセニヤさんと知り合って、ちょうど10年目。

この10年間、僕のライブステージやオリジナル曲をほぼ網羅されてきたエセニヤさんは、僕の音楽性や演出表現を知り尽くしてます。

 

また、祖国ロシアでは、子供の頃から日本語を学んでいたエセニヤさん。

日本語の細かなニュアンスにも堪能で、とりわけ僕の書く歌詞に深い共感を寄せてくれます。

詩集にして出版してください!と度々リクエストいただくほど。

 

そんなエセニヤさんからお話を切り出されたのは、まだ寒い2月のこと。

「ヒデキ先生が落ち着かれたら、お願いしたいことがあるんです」

 

壮大なプラン - The Plan - 

「何年先に実現するかわからないんですけど」

そう前置きした上で、エセニヤさんは夢を語り始めました。

 

「様々な愛をテーマにした、1時間あまりのオリジナルダンスショーを公演したいんです」

なんと壮大なアイディアでしょう。

 

「それで、それぞれの愛をコンセプトにした真新しいオリジナル曲を作っていただけますか?」

そう言って、なんと十数曲もの制作を依頼されたのです!

 

運命的なテーマ - The Theme -

ショーのオープニング曲。

エセニヤさんが選んだテーマは「母性愛」

 

偶然とは思えないタイミングでした。

最愛の母、松原リディア美江を亡くして、まだ40日しか経っていない頃でしたから。

 

母性愛を失ったばかりの自分が、母性愛をテーマに曲作り。

運命の巡り合わせを感じました。

 

失った母性愛 - Lost Love -

エセニヤさんにとっても、僕の母は「日本での母親」のような存在でした。

母が他界して誰よりも悲しんでいるのは、ほかならぬエセニヤさん。

いまだに立ち直れていないと言います。

 

「6年間のおつきあいを通じて、美江先生からいただいたお手紙が2箱分もあって」

それはエセニヤさんにとって大切な宝物なのだとか。

 

無上の愛 - Greatest Love of All -

母性愛。

甘く、慈愛に満ちて、かけがいのない愛。

子を想い、子を守ろうとする母の愛。

見返りを求めない無上の愛。

当たり前に自分が享受してきた愛。

当たり前すぎて、失って初めてその偉大さに気づかされる愛。

 

深宇宙から大地へ - The Plot -

制作にあたって、まずは構想の組み立てから。

そこで、エセニヤさんにインタビュー。

音作りの構築に欠かせないキーワードをもらいました。

 

「始まりは、宇宙から」

「大きな大きな宇宙からの愛と、母性愛を重ね合わせて」

「最初は静かに、次第にスケールを増していってください」

「宇宙からの愛が、地球へと豊かに降り注がれるイメージで」

「最後には大地に降り立つ感じ」

「最後に小鳥のさえずりが欲しいです」

 

無重力の螺旋音階 - Notes -

こうしたコンセプトを元にメロディーをスケッチしていくうち、かなり早い段階にできたフレーズがありました。

三連符が6度音程を行き来しながら、くるりくるりと優雅に螺旋(らせん)を描いて下降していく音型。

この楽曲の魂となる旋律を発見した!と直感しました。

 

それから6週間たった頃には、新たな旋律が空から僕にもたらされました。

それは宇宙空間を漂っているような、伸びやかなフレーズ。

無重力感覚の摩訶不思議なコード進行を身にまとって、僕の五線譜に収まったのでした。

 

母胎という名の宇宙 - Sounds Like Mothehood -

メロディー素材が集まったら、いよいよサウンドプロダクションに取り組みます。

 

スペーシーな効果音からスタートする導入部。

それは母なる宇宙の偉大な愛。

シンセパッドの帯が一層ごとレイヤー状に重なっていく。

 

そこに、玉を転がすような三連符が鳴り始める。

それが、オーボエとフルートの二重奏に引き継がれていく。

 

サウンドは次第にスケールを増して行く。

ついには弦楽器と金管楽器を伴ったフルオーケストラへと発展。

 

やがて、大地を揺るがすトライバル(部族風)なドラムビートが猛(たけ)り始める。

と同時に、重厚なパイプオルガンが勇壮に響き渡る。

野性味と神聖さが対峙して、怒涛のクライマックス。

 

無上の愛が、ダイナミックに地上を揺るがす。

その後、一転して静寂に包まれた大地は、夜明けを告げる小鳥のさえずりに満たされる。

 

詩の在処(ありか) - Where Poetry Lives & Miracles Are Born -

楽曲制作が佳境に入った頃、エセニヤさんから一通のメールが届きました。

そこに書かれてあったのは、とある書物からの抜粋。

 

エセニヤさんは、この一節をダンスショーのコンセプトにしたいと言います。 

Есть вещи, о которых очень трудно говорить и писать. Они лежат где-то на границе сознания, в той области, где живёт поэзия и где рождаются Чудеса (хотя в них принято не верить).
Одна из таких вещей - чувство родственности у людей, совершенно не знающих друг друга.

 

ロシア語のわからない僕のために、エセニヤさんが英訳してくれたものがこちら。

There are things that very difficult to talk or write about. They lie somewhere at the border of the consciousness , where poetry lives and Miracles are born (but it's not encouraged to believe in them). 
One of those things is the sense of kinship by people who completely do not know each other.

 

ちょっと日本語に訳してみましょうか。

こんなニュアンスになります。

とても言葉では表現しづらいことがあります。

それはどこか意識と無意識の境目あたり──詩が息づき、奇跡が生まれる領域──に存在しているから。

(とはいえ、その存在を信じるに足る根拠とはならないのだけれど)

ひとつ挙げるとすれば、面識が一切ないのに近親感を覚える、そんな感覚のことです。

 

肉声の刻印 - The Voice - 

とっさにひらめいた僕は、即座にエセニヤさんへ打診しました。

「曲の冒頭で、この一節をエセニヤさんの肉声で吹き込みませんか?」

 

スポークンワード(朗読)としてレコーディング。

このアイディアに僕は有頂天でした。

 

外国語の響きには、雰囲気が備わっています。

だからこそ朗読した声を、あたかも楽器の一部のごとく、楽曲に組み込むことができます。

肉声が入ることによって、楽曲のクオリティーが上がることは間違いありません。

 

それにエセニヤさんのオリジナル舞台作品ですからね。

楽器サウンドのみならず、彼女の存在感を楽曲の中に刻印したい、という思いもありました。

 

レコーディング経験がない人の常として、最初エセニヤさんは少し気後れしつつも、快諾してくれました。 

こうして英語バージョンとロシア語バージョンが完成。

 

SF的なシンセ音とエセニヤさんの声が融合して、とても雰囲気のある導入部が完成。

人の肉声が入ると、楽曲の説得性が増すんです。

こうして、十数曲あるショーの冒頭を飾るにふさわしい出来栄えとなったのでした。

 

夢のような情景 - Dreamscape -

『Motherhood』完成後、2曲目の制作に取り組んでいるところです。

「母性愛」に続いてエセニヤさんが選んだテーマは「初恋」

 

まず僕がしたことといえば、そう、タイトル付け!

『Dreamscape』(ドリームスケープ=夢のような情景)と名付けました。

モダンなサウンドに乗せて、甘く切ない気持ちを奏でます。

 

両曲ともエセニヤさんが振付して、来年公開予定です。

乞うご期待を!

 

 

◾️美美の環ミュージカル動画◾️

ミュージカル『音楽名曲物語』よりエセニヤさんの幻想的なダンス💃


【美美の環ミュージカル】アラビアの踊り 組曲『くるみ割り人形』(チャイコフスキー) by Eseniya エセニヤ Arab Dance from The Nutcracker Tchaikovsky

 

◾️ヒデキマツバラLIVE動画◾️

オリエンタル系エレクトロニカ「ミスティーク」💫


MYSTIQUE ヒデキマツバラ by Hideki Matsubara

 

◾️ヒデキマツバラ音源作品◾️

🇪🇸スペインをテーマに作った神秘的なダンスサウンド💃


🇪🇸SPANISH EYES ヒデキマツバラ by Hideki Matsubara feat. Caroline Lavelle (from “Breathe” by Art of Trance)