ラブバラード「トップ・プライオリティー」連載記事、最終回です。
歌詞、サウンド、タイトル、主人公モデル、すべて語り尽くします^^
創作意欲を駆り立てるヒントについても書きました。
目次のリンクから最終章へどうぞ。
●前回までの記事
- 愛をささやいて 嘘でもいいから
- リアリティーの先にある真実
- 村上くん七変化
- 非R&B人間が手がけたR&B
- 絶対かぶらないタイトルをつけたい！
- 世界にただひとつの絶大な個性を生み出す秘訣
- 創作意欲を駆り立てるヒント
愛をささやいて 嘘でもいいから
歌詞字幕付き（動画内の下部にある⚙ボタン左のキーボード型ボタンをオンにして下さい）
TOP PRIORITY
作詞・作曲・編曲／ヒデキマツバラ
さっき愛したばかりなのに
もう君が恋しくて
声を聴かせて ただ一言
ねぇ 僕しか見えぬと
明日なんていらない
今さえあれば
一秒ごとに 感じている
君の鼓動 加速していく
ルージュぬぐった素顔が好きさ
またガキみたいと笑われるかな
僕の一番大事な人
そう この胸の中で
愛のささやき 奏でていて
ねぇ 嘘でもいいから
逢瀬を重ねても 君には遠く
触れたぐらいじゃ
叶えられぬ 深い愛
ごまかすように
人目かまわず キスしてはハグ
またやりすぎだと叱られるかな
もし今 僕が息絶えたら
ねぇ 泣いてくれるかな
ジョーク交じりに 肩を抱けば
あぁ 切なさこぼれる
君の一番大事な人
そう 僕ではなくても
気持ちが走る 愚かなまで
もう止められぬハート
リアリティーの先にある真実
(前回記事からの続き)
作詞をするということは、作家になり、映画監督になり、ストーリーテラーになること。
本作では歌だけにとどまらず、短編小説まで書きました。
歌を作るなら、むしろそうあるべきだと感じます。
そこまで実像が固まっていれば、作り物を超えたリアリティーが必然と備わるから。
そうしたリアリティーを伴えば、おのずと真実が浮き彫りになってきます。
本作で浮き彫りになったのは、本気で人を愛することの切なさ、情けなさ、弱さ、脆(もろ)さ。
それだったら、僕自身の実体験でもあるし、僕に恋の悩みを相談してきた人たちの実体験でもあります。
そう、歌の根っこには、万人の心が宿っているのです。
それこそが共感を生みます。
様々な人の実体験が、＜叶わぬ恋、許されぬ恋、不埒な恋＞というテーマで、真実の叫び声になって現れたもの。
それが「トップ・プライオリティー」というラブバラードなのです。
村上くん七変化
アパレルショップ店員の村上くんを主人公のモデルにした本作で、すっかり味をしめた僕。
その後も村上くんをモデルにしながら、次々に作品を制作・発表していったのでした^^
南国を舞台に、ひと夏のアバンチュールを歌った「パッション・フルーツ」
中世スペインのレコンキスタを背景にした「ミスティーク」は、イスラム女性への愛と改宗を歌ったもの。
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こうして村上くんの存在感そのものがインスピレーションになって、３曲もの歌が誕生してしまいました。
「ホントですか！？ それ聴きたいです！」
そんな村上くんのために後日、歌を吹き込んだデモテープを作って贈ったのは言うまでもありません^^
非R&B人間が手がけたR&B
ここで、サウンドについても触れておきましょう。
このリズム、ベースライン、エレピ、そして多重コーラスを聞いて、ピンときた方もいるでしょう。
と言っても僕、R&Bは滅多に聞かないのです^^;
UKサウンド好きなものですから、聞いたとしてもイギリス製のR&Bがほとんどで。
本格的なR&Bを意識して作ったのは、この曲が初めてだったと思います。
意外なことに、普段R&Bを聞かなくても、作れちゃうものなんですよね^^
シンセサイザーのがっつり打ち込みサウンドとR&Bは、相性が良いものですから。
絶対かぶらないタイトルをつけたい！
続いて、タイトルについても。
本作タイトル「トップ・プライオリティ」とは「最優先事項」の意味です。
ずっと作詞ノートの中で温めてきた言葉でした。
専門的なビジネス用語なので、日常会話では絶対耳にすることのない堅い表現ですね。
アメリカ発のニュース番組でしか耳にしたことがありません。それも政治や経済のニュースで。
でも、これをラブソングのタイトルに冠すると、意味合いが一転！
「最優先事項」＝「一番大事な人」というニュアンスになるのです！
叶わぬラブストーリーだからこそ、なおのことふさわしいタイトルですよね。
他のアーティスト楽曲とタイトルがかぶることもないだろうし^^
同じ意味で first priority（ファースト・プライオリティー）という言い方もあります。
個人的には「トップ・プライオリティー」という響きの方が、特別感が５割り増しで好き^^
歌詞本編にこそ登場しませんが、バックの１人多重コーラスではしっかり歌ってるんですよ^^
「You're my top priority, you're my top priority, whooooo, all I want is you〜♪」
「プライオリティー」という言葉を意識するようになったきっかけは、アメリカからの航空便でした。
アメリカからCDを直輸入すると、たいてい Priority Mail だったり Firt Priority なる印字やスタンプを目にするんです。
要するに「急送便」というニュアンスで、４〜５日くらいで海を越えて届きます。
ちなみに、欧米のネットショップやオークションから個人輸入する機会が多いため、そういう特殊な状況で目にするワードには、ピピッと目がいっちゃいますね。
ヨーロッパやUKからの航空便で目につく言葉だと、
・Fragile（フラジャイル）壊れ物
・Handle with Care（ハンドル・ウィズ・ケア）取扱注意
そういえば「Fragile」と名付けられたラブソングが2000年代に世界中で乱発されてましたけど、なぜだろう？^^
自分にとっては馴染みのワードであっても、他人にとっては目新しいことだってあります。
皆さんも身の回りを観察してみれば、案外そうしたキーワードが見つかるものですよ。
世界にただひとつの絶大な個性を生み出す秘訣
絶大な個性を生み出す秘訣があります。
それも世界にただひとつだけの個性を。
それは、脈絡のないテーマを３つ集めること。
例えば
・ネコ
・未来
・ロボット
ここから何を連想しますか？
そう、のび太くんが頼りにしている、あの青い「おきあがりこぼし」ですね^^
ひとつひとつは別次元のワードなのに、3つが合体することで「ドラえもん」という唯一無二の個性が誕生するわけです。
そう考えると
・村上くんのキャラ
・許されざる恋
・アメリカからの航空便
この脈絡ない３つのアイディアが融合したから『トップ・プライオリティー』は特別なバラードだと感じられるのでしょう。
創作意欲を駆り立てるヒント
客と店員という立場を超えた、村上くんのオープンな人間性が、全ての始まりでした。
そんな彼を通して、発見したことがあります。
自分の中にもオープンな人間性が息づいていること。
作詞やストーリー作りに苦心しているあなたが、創作意欲を駆り立てるヒントもそこにあります！
内なる自分を見つめて作詞を始めたところで、ロクな進展はありません(笑)
しみったれた歌の作り損ないが、またひとつ増えるだけ！
経験者として、そう断言します(笑)
まずは色眼鏡を外して、自分の外に目を向けましょう。
The outer world is nothing but a true reflection of your inner world.
(あなたを取り巻く世界はすべて、あなたの内面をそのまま映し出したものである)
良い意味でも悪い意味でも、外の人や物事を観察することによって、そこにあなたの内面を映し出す発見が必ずあります。
自分の外にあるものを見ることによって、自分の内にあるものを知ることになるのです。
そこから、あなただけにしか作れない真の歌が生み出せるでしょう。
リスナーたちの魂を揺さぶる真の歌が！
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