
幾度、夏が過ぎていっても、色あせない名曲がある。
時折、季節感を問わず無性に聴きたくなって、CDラックに手が伸びる。
自分の体のどこかが、その躍動感を求めてる。
「サンシャイム」は、そんな名曲だ。
先週、ダリオGことポール・スペンサーが癌により死去した。享年53歳。
世界中を熱狂させたメガヒット曲「サンシャイム」で知られたダリオG。
今日はこの曲にまつわる伝説的なエピソードを特集していこう。
大地と魔法のダンスミュージック
広大なアフリカの大地を踏みしめる躍動感と、底抜けにハッピーで極彩色な音楽性。
と同時に、ひと気ない晩夏の海岸を想起させるメランコリーを垣間見せる。
これほど圧倒的な魅力を放つ魔法のようなダンスミュージックは、後にも先にもちょっと思いつかない。
サンシャイム伝説の始まり
1997年の夏が終わり、9月を迎えたばかりのイギリス。
待ちに待った「サンシャイム」がリリースされた。
それよりずっと以前から、イギリス中の音楽好きの間では話題騒然の楽曲だった。
まだレコード契約さえない無名のアーティストにも関わらず。
伝説が始まったのは、1枚のプロモ盤がラジオ局で放送されたところから。
以下、ダリオGのデビューアルバム日本盤ライナーノーツから抜粋・要約していこう。
「長いDJ人生の中でこんなにすごいリアクションがあった曲はなかったよ」ダリオGの「サンシャイム」を世界で初めて電波に乗せた英国一の人気ラジオDJピート・トングは語る。「”もう一度かけてくれ”というリクエストがたくさん来て、結局その日は7回もオンエアーする羽目になったんだ。そうしたらもう大変。次の日にはあちこちのレコード店で大騒ぎが起こったのさ。この曲のCDを買いに客が殺到したんだ。まだ発売されてないどころか、レコード会社さえ決まってなかったのにね」
異例のデビューシングル
ここまでヒットポテンシャルが高いと、さぞレコードレーベル間で激しい争奪戦が繰り広げられたであろうことは想像に難くない。
結果、ワーナーUKが出版契約を勝ち取り、傘下のダンスレーベル、エターナル・レコードからリリースされた。
エターナル・レーベルのボス、スティーブ・アレンは「聞いたとたん震えがきた」と大絶賛。無名の新人としては異例の初回出荷20万枚という破格の期待度でリリースされた。この分では初登場1位は間違いなしと思われた。
イギリスを襲った悲劇
その矢先、イギリス中が涙に暮れる悲劇に見舞われる。
ダイアナ元皇太子妃の交通事故死。
急遽エルトン・ジョンによるトリビュートソングがリリースされ、運悪く発売日が重なった「サンシャイム」は2位止まり。
それでも「サンシャイム」はイギリス国民とともにあったような気がする。
日没の海に佇むCDジャケットの中の少年のように、祭りの後の寂しさを味わいながら。
いつか笑顔になれるという希望をサウンドに託して。
匿名の成功
その後「サンシャイム」の快進撃はヨーロッパ各国に広がっていく。
やがて大西洋を越え、全米ではクラブチャートNo1を達成する偉業を成し遂げてしまった。
当時の日本でも、MTVでよくビデオクリップを目にしたものだ。
時代は世紀末とあって、ダークで破壊的な洋楽ビデオを好んで流すMTVにおいて「サンシャイム」は異色だった。
こうして1997年という年を象徴する世界的ダンスアンセムになった「サンシャイム」
依然として、グループの実態は男性3人組としか明かされないまま、楽曲だけが人々の心に灼きついた。
*デビューアルバム発表後、他のメンバー2人が脱退し、1人残ったポール・スペンサーがダリオGの屋台骨を担うことになる。
ドリーム・アカデミーの原曲
新しいのに懐かしい
当時「サンシャイム」を耳にした欧米のリスナーは、デジャヴのような心地を味わったに違いない。
「新しい曲なのに、なぜか懐かしい」
それもそのはずで、このアフリカっぽいコーラスは「サンシャイム」から遡ること12年前に発表された楽曲からサンプリングされているのだ。
イギリスのバンド、ドリーム・アカデミーのデビュー曲「Life In A Northern Town」(1985年作品)である。
本作をプロデュースしたのは、世界的なロックレジェンドであるピンク・フロイドのギタリスト、デヴィッド・ギルモア。
派手なロックサウンドが主流だった当時の音楽マーケットにあって、本作はフォーキーでアコースティックでありながら全英15位、全米7位、全米アダルトコンテンポラリー(=大人向け楽曲)チャートでは2位という好成績を収めた。
白夜の哀歌
「北国の町の暮らし」というタイトル通り、歌詞の内容はどことなく悲哀を帯びた北国の寒村を思わせる。
はてなブロガーのリリックソニックさんが対訳されているので是非ご覧いただきたい。
Wikipediaによれば、当初タイトル案は「Morning Lasted All Day」だったという。
意味は「日がな1日続く朝」つまり白夜のこと。
ところがポール・サイモン(サイモン&ガーファンクルの人!)からダメ出しされたバンドメンバーが即座にひらめいて「Life〜」に決定したのだとか(笑)
陽射しのジュース
アフリカの大地と魔法が内容された魅惑の「サンシャイム」
そこには永遠に色あせない夏が息づいている。
永遠に色あせない「純粋さ」と言うべきかもしれない。
なぜならこういう楽曲は、まだ20代そこそこだったポール・スペンサーのような若者たちでないと生み出せない作品だから。
この記事を書くにあたり、僕は長年の疑問に答えを出そうとした。
果たしてサンシャイム sunchyme ってどういう意味?
すると思わぬ発見が。
chymeとはギリシア語でジュースという意味があるらしい。
つまり太陽のジュース! 陽射しのジュースなんだ!
太陽のように色あせない若さ、パワー、純粋さが「サンシャイム」には散りばめられている。
ポール・スペンサーのご冥福をお祈りしながら、今宵もこの名曲に耳を傾けるとしよう。
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