
2月末にして、5月並みの暖かさ!
コートもマフラーも纏わず、春色の光の中に飛び出した朝。
まぶしい青空、クリームのように滑らかな川面、春霞漂う並木道、そこここに喜びがあふれて夢見心地。
そんな今朝もコンサートホールを貸し切り、衣装を着用して、ピアノコンクール本番に向けたレッスンが始まります。
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再びピアノコンクール決勝へ
ピアノ再開3年目の教え子まどかさんは、昨年末にエリーゼ・ピアノコンクール東京決勝に出場したばかり。
そんな彼女が今度はブルーメンシュタイン・ピアノコンクールで岡山予選を勝ち抜いて、この春に東京決勝へ進出することになりました!
その予選で弾いたという、難易度の高いショパンのマズルカ第25番で、奨励賞まで受賞したまどかさん。
決勝本選に向けてショパンのノクターン第11番に取り組んでますが、その選曲理由は以前僕の演奏しているところを偶然耳にして気に入った曲だからなのだとか。
日に日に近づいてくるコンクール本選に向けて、二人三脚です。
いえ、実を言えば三人四脚かもしれません。
というのも。。。
花のような一期一会
先月末のことでした。
ピアノレッスン後、まどかさんから思いがけない話を切り出されました。
入院していたおばあさまが天に召されて、初七日を済ませたところだと。
そのおばあさまとは1度だけ、ステージ公演でお会いしたことがありました。
それはそれは花のように優美な方でした。
朗らかな笑顔、品のある装い、凛(りん)とした立ち振る舞い、帽子の似合う芸術家肌でありながら、90歳を超えているというではありませんか!

一期一会で、これほど深く印象に残ったお方はいません。
というのも、その日の公演会場で、誰よりも飛び抜けて最高齢だったこのおばあさまは、誰よりも飛び抜けて若く見えたのです!
エイジレスな若さを持つ人の特徴
「年齢が若い」ことと「本当の若さ」は違いますね。
本当の若さっていうのは、魂の内側からあふれるクリエイティブな輝きのこと。
自身のみならず、その周りをも明るく照らしだす太陽のような若々しさです。
読者の皆さんも、そういうオーラを持つ人に心当たりありませんか?
ある程度の年齢に達しているはずなのに、若者よりも若さを感じさせるピュアなエネルギーと遊び心を持った人。
同じ空間にいるだけで、暖炉のように居心地よくて、こちらまで元気にしてくれる人。
このおばあさまは僕にとって、まさしくそういう存在でした。
ステージ公演で司会進行役だった僕は、客席で鑑賞してくれるおばあさまの姿にどれほど助けられたことでしょう。
僕がトークするごとに、座席でウン、ウンと子供みたいなに笑顔で嬉しそうに頷(うなず)いているお姿。
若い人たちに混じって、小物楽器を使ったワークショップで積極的にチャレンジされるお姿。
まるで太陽を向くひまわりの花のように、僕の視線はそのおばあさまの生き生きしたポジティブなエネルギーに釘付けでした。
終演後のティータイムでは、ゆっくり座ってお話しできたことも良い思い出です。
太陽を失ったひまわり
いつかまたお会いしたいな。
そう願っていたものですから、訃報に接して放心してしまった僕は、まるで太陽を失ったひまわりでした。
不思議ですね。
人生でたった1度だけ、ほんの2時間ほど音楽交流したきり、お名前すら存じ上げないのに。
訃報を告げたまどかさんが帰った後、真冬のレッスン室には正午の陽射しがあふれ出しました。
そう、まさしくこの光のような方だったな。
いてもたってもいられません。
すぐお花屋さんに連絡しました。

僕から届いた供花に、まどかさんは驚きつつ、
「ヒデキ先生がそんな風に祖母のことを想ってくださってたなんて嬉しいです」
三人四脚の春
訃報からひと月。
太陽を失ったひまわりは、虚空を向いているしかないのでしょうか?
いえ、太陽が目に見えなくなっただけで、今でも陽射しは浴び続けています。
天の光になったおばあさまに守られながら、まどかさんと僕と三人四脚でピアノコンクール本選を目指しているのですから。
魂でつながった絆は、死をもってしても断ち切られることはありません。
人生でたった1度きり、ほんの2時間の交流に過ぎなくても。
出会えて、良かった。
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