ヒデキマツバラの猫道Blog

愛猫家ミュージシャン、ヒデキマツバラのキャットウォークブログ

【中山美穂さん追悼特集 Part5】時代を超えて色褪せないミポリン名曲12選(後編)- If I Could Appreciate That I Was Born -

まもなく中山美穂さんの一周忌です。

あまりに突然のお別れだったものですから、追悼記事を書き連ねていくうち、話題が美穂さんの音楽性へと及び、連載に発展してしまった本特集。

あともう5000字ほど追加して、これで最終回としましょう。

当時からの音楽ファンはもちろん、全盛期をご存じない方々にも、在りし日の美穂さんの魅力が伝わるよう、心を込めて執筆してまいります。

 

中山美穂さん特集記事

 

 

Witches(14thシングル)

最初に涙を流した方が 灰になるのよ

 

作詞/康珍化、作曲/CINDY、編曲/鳥山雄司

 

珍しくボディーコンシャスなファッションに身を包んだ美穂さん。

これでもまだ18歳(!)ですが、マネキンのごとく成熟した美貌にうっとり。

 

本作のテーマは「三角関係」

男性をめぐる女性2人の対立を「魔女同士の対決」に見立てた異色作で、これほどスリリングな楽曲は後にも先にもなかった気が。

 

前作「マーメイド」に続き、康珍化さんとシンディーさんが楽曲を手がけ、トップアクトレスであった美穂さんの女優的な感性を引き出しています。

「切ない恋心」を抱いたマーメイドが、今作では「燃え上がる嫉妬心」を歌う魔女に化けた(!)というわけですね。

 

あなたが彼女を抱きしめるたびに 私の愛は石に変わるわ

この生々しい女性のサガを、トップスターがファミリー向けの歌番組でサラリと歌えてしまえたのも、日本史上最も景気が良かったバブル絶頂期ならではの空気感でした。

ちなみに「石に変わる」は、ギリシア神話に登場するメドゥーサのイメージをオーバーラップさせているのでしょう。*メドューサ…自分の美貌は女神以上だと豪語し、女神の怒りを買って髪をすべて蛇に変えられた妖女。見た者をことごとく石化させる。

他に類を見ないコンセプトながら、リアルな女性心理の毒々しさを体現した美穂さんは、ますますOL層から支持されていったのでした。

 

サウンドは前作同様、重低音の効いたブラコン系のクラブサウンド

世界的ヒットを連発していた当時のジャネット・ジャクソンポーラ・アブドゥルらの作風を彷彿とさせるところも、新しもの好きなOL層にビンゴだったのでしょう。

 

4作連続1位の今作で、ついにNHK紅白歌合戦に初出場を果たした美穂さん。

あの頃の美穂さんの国民的人気と認知度をもってすれば遅すぎたくらいで、もう2年早く出場してしかるべきだったのではないかと!

 

ROSECOLOR(15thシングル)

あなたの掌(てのひら)で どこにも咲いてない 綺麗な花にして

作詞/康珍化、作曲/CINDY、編曲/鳥山雄司

 

康珍化さんとシンディーさんが手がけたシングル三部作の最後を飾るのは、つぼみが花開くようなバラード作品「ロゼカラー」

当人が出演した化粧品のCMソングでもあり、『CATCH ME』以来5作連続1位に輝きました。

時代的には、日本テレビ界の看板音楽番組が次々と終焉していった頃で、前作までと比較するとテレビで聞く機会はあまりなかったように記憶していますが、僕は一聴で恋に落ちてしまった楽曲です^^

 

美穂さんのバラード作品はどれも、歌詞・メロディー・サウンドとも三位一体で凄まじいばかりに聴きごたえがあるんですが、本作ほど芸術性を極めたバラードはないでしょう。

官能的ながら品格をも感じさせる歌詞は、エデンの花園で戯れるアダムとイブのよう。

それに呼応した楽曲展開も絶妙で、後半「心のざわめきが/花粉に運ばれて」から畳み掛けるように転調を重ねていく箇所なんて、あまりにも耽美かつ陶酔の極みで心を持っていかれます。

また鳥山さんによる、アーバンな打ち込みビート+クラシカルな楽器編成のコントラストは、まるで「都市の中の楽園」のごとく、花々に彩られた現代アート建築を描き出してますね。

 

ちなみに、このシングル三部作をきっかけに様々なアーティストへ楽曲提供するようになったのがシンディーさん。

とりわけ美穂さんには群を抜いて多く提供しており、その数30曲近くも。

両者とも単なる仕事相手を超えた友情で繋がっていたようで、シンディーさんが享年わずか43歳で他界されたことは、美穂さんのファンクラブ会報誌内の追悼メッセージがきっかけで公になったとか。

美穂さんと言い、なぜ才能豊かな方々は早逝なのでしょう。。。かくも華は散りらむ。。。

 

世界中の誰よりきっと(25thシングル)

めぐり逢えたのも きっと偶然じゃないよ 心の何処かで待ってた

作詞/上杉昇中山美穂、作曲/織田哲郎、編曲/葉山たけし

 

これぞ中山美穂の代名詞!であり、20世紀の日本歌謡界を代表する国民的メガヒット曲ですね。

ビーイング系の無名新人バンドWANDS(ワンズ)とコラボした本作では200万枚もの売上を達成、7作目の1位に。

 

この頃の美穂さんは、トレンディードラマの女王として唯一無二の地位と存在感を確固たるものにしていて、歌手活動はサイドプロジェクトの扱いでした。

その分、本作では作り込むことや気負うことなく、綿密な振付も豪華な衣装も必要とせず、ナチュラルに自然体でリラックスしながら歌っている様子が伝わってきます。

 

美穂さんが共作された本作ですが、冒頭の歌詞「まぶしい季節」はイルミネーションにきらめくクリスマスシーズンをイメージしたのだとか。

デュエット相手のWANDS上杉さんの証言によると、美穂さんはドラマ撮影で多忙を極めており、対面することなく各自それぞれ歌詞を作ったそうで、美穂さんは主に2番を作詞されたとのこと。

 

この頃の時代背景としては、80年代アイドルブームに取って代わった90年代初頭のバンドブームがそろそろ下火に差し掛かった時期でした。

個性派バンドからビジュアル系バンドまで出尽くした後に登場したビーイング系バンドは、飾らない等身大のラブソングで次々とミリオンセラーを連発。

意外なことに、男女問わずアイドル出身でビーイング系楽曲を歌ったのは美穂さんしかいなかったのでは?

両者の相性はとても新鮮で、当時どっぷり洋楽派だった僕の耳にも親しみやすく、男性でも歌える点が嬉しかったですね。

今でも女友達とカラオケに行く度デュエットしてるんですよ♪

 

ただ泣きたくなるの(28thシングル)

私に生まれたこと 感謝できれば

作詞/国分友里恵&中山美穂、作曲&編曲/岩本正樹

 

美穂さんの急逝直後、この歌を延々ループしながら、僕どれほどティッシュを消費したことでしょう(T_T)

まず、泣きのメロディーが美しすぎて涙。。。

親友の結婚を祝福した歌にも関わらず、強く懸命に生きようという健気(けなげ)さが伝わってくる歌詞にまた涙。。。

「どんなふうに夜は終わってゆくのだろう」という歌詞が「どんなふうに人生は閉じてゆくのだろう」と拡大解釈できてしまい、またまた涙。。。

 

音楽的に分析していくと、音域の広い本作はメロディーが跳躍音だらけで、かなり高度な歌唱力を要します。

ただ泣きたくなるの〜」で音程がオクターブ(8度)越えの10度まで急上昇し、直後の「好きだから」で5度下がって4度上がり、次の「好きだから」でまた5度下がり4度上がるという、ジェットコースターみたいに目まぐるしく上昇/下降を繰り返すバラードです。

思えば美穂さんは、レンジの広い楽曲を提供されることが多くて、本作を含め『色・ホワイトブレンド』『派手!!!』『You're My Only Shining Star』に至っては、歌いこなせる女性アイドルはそうそういなかったでしょう。

 

さて、この比類なき美しいバラード作品は、美穂さん自身、持ち歌の中で一番好きだったのだとか。

フランス時代の友人シェフがそう証言されてました。

 

かつての栄光と引き換えに手にしたはずの結婚と、フランスでの家庭生活。

それらを棒に振って、離婚後15年ぶりに復帰した芸能界。

自由奔放な生き様を選んだ美穂さんでしたが、その代償は高くつきました。

 

最愛の息子さんに会おうとフランスまで足を運んでも、元旦那さんから再会を許されず、失意と寂寥感に苛(さいな)まれた美穂さん。

「私のことなんて誰も気にとめてくれない」とワインに溺れながら、歌手活動と飼い猫に慰めを見出していた晩年の美穂さん。

 

そんな痛々しい彼女の実像がつまびらかにされた今となってみれば、本作の「私に生まれたこと感謝できれば」というフレーズが僕らの胸に刺さります。。。

まるで、スターの階段を登り始めた過去の美穂さんから、悩み苦しむ晩年の美穂さんへと歌いかけているようで。。。

 

涙、止まれ!/中山忍(2ndシングル)

悲しみこみ上げるけど この涙が乾いたら 強くなれる

 
作詞/森雪之丞、作曲/後藤次利、編曲/佐藤準

 

最後は、美穂さんの実妹、忍さんの楽曲からセレクトしました。

忍さんは中学生の頃、すでにトップアイドルだったお姉さんの海外ロケで成田空港に見送りへ行ったところをスカウトされてアイドルデビュー。

ほどなく女優に転向されて以来30年、堅実に芸能活動を続けてこられ、なんと2時間ドラマ助演120回以上の日本記録を誇るのだとか!

 

本作はそんな忍さんが16歳になったばかりで発表した、アイドル時代最大のヒット曲です。

声質はお姉さんと真逆で、菊池桃子さんや西村知美さん系統の甘い舌足らずなマシュマロボイス。

内容は、主人公が片想いしていた男友達に彼女ができたことを祝福してあげる、という失恋ソングなのですが。。。

この歌詞が今となっては、最愛のお姉さんを失った悲しみを歌っているように聞こえてしまいまして。。。

 

昔から美穂さんと仲良し姉妹で知られた忍さん。

気丈に喪主を務められたり、TVドラマで急遽お姉さんの代役を担うなど、こちらの涙を誘う場面が数々ありましたね。

とりわけ美しい姉妹愛を感じたエピソードは、遺品整理の際、忍さんの切り抜きをファイルしたものが美穂さんの部屋から見つかり「お姉ちゃん、私のファンだったんだ」と知った忍さんが号泣されたこと(>_<、)

 

星と同じ数のめぐり逢いの中で

ミポリン名曲特集、これにて完結です。

個人的に思い入れ深い楽曲を並べてみたら、トップアイドル期にリリースされたシングルが8作連続で入っていました。

 

偉大なアイコンだった美穂さん。

そんな彼女が急逝されたことは、僕らの幼年期の一部が失われてしまったような喪失感でした。

でもこの1年というもの、4月のお別れ会、6月のデビュー40周年記念ライブ公演と続き、過去作品のアナログ復刻、新たなDVD集やエッセイ本のリリース、過去ライブのテレビ放映etc、再び僕らに素敵な夢を見させてくれました。

 

改めて美穂さんの早すぎる旅立ちを悼んで祈りを捧げるとともに、1万5000字に及んだ本連載を通じて、読者の方々が彼女の遺した偉大な足跡の一部でも知る機会としていただけましたら幸いです。

星と同じ数のめぐり逢いの中で、美穂さん、あなたは僕らの光り輝くスターでした💫

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