- 祝意の青空 - Under The Blue Sky -
- 帰宅 - I'm Home -
- 「家」と呼べる場所 - Where I Belong -
- 授かりもの - Blessing -
- 1日牧師 - Once In A Lifetime -
祝意の青空 - Under The Blue Sky -
例年にない早さで梅雨入りした5月。
連日のように傘の出番が続きました。
そんな梅雨空を太陽が追い払ったおとといのこと。
16ヶ月ぶりに、僕の母、松原リディア美江が帰宅しました。
家族として、音楽家の同志として、人生の大半を母と共にしてきた僕。
これが本当に母と一緒に過ごせる、最後の最後の3日間。
奇跡のように、爽やかな晴天が続きました。
空も、緑も、母の帰宅を祝福していました。
最後の日の今日、母を見送りました。
これまでずっと順延になっていた納骨。
やっと、父の眠るお墓に納めてあげることができました。
帰宅 - I'm Home -
おととい、母を迎えに、3件隣にあるルーテル教会の納骨堂へ。
これまで安置していただいたお礼を新任の牧師様に申し述べ、胸に抱いた母の骨壷。
連れ帰った母を、遺影と共にピアノの上に。
それは74年の人生を奏で続けてきたピアノ。
その生涯を、音楽の発展と音楽教育に捧げた母に、ふさわしい場所。
いつも母がそばで見守ってくれている。
おぼろげにそう感じながら、この16ヶ月、過ごしてきました。
家の中、母の遺骨を前にすると、おぼろげどころではありません。
それはもうひしひしと母の存在感が感じられます。
母のことを愛していたチロも何かを感じたようです。
ハッと見上げては、何もない中空を見つめます。
確かに、母の魂も、我が家へ帰って来ているのでしょう。
「家」と呼べる場所 - Where I Belong -
母を失って、気づきました。
母がいない我が家は、もう「家」とは呼べない場所だということに。
「ただいま」と帰ってゆける場所がなくなった僕は、家なき子同然でした。
でも母が戻ってきた3日間。
我が家は再び「家」と呼べる場所になりました。
3日間、事あるごとに、母へ話しかけました。
僕の主夫ぶり、仕事ぶり、愛猫たちのこと、レッスンスタジオの模様替えetc、この16ヶ月に起きた変化を。
ピアノを弾いて聴かせてあげました。
母の遺影の前で毎日、祈るように弾いてきたピアノ曲の数々を。
夜中であろうと、僕の留守中であろうと、家中の明かりを灯し、昼夜問わずエンドレスでCDを流しました。
母の愛した名曲を明るい部屋の中に満たして、母の魂を浸(ひた)らせてあげたのです。
初日はクラシック、あとはひたすらボサノバ。
授かりもの - Blessing -
母は、僕に音楽を授けました。
母の子として生まれてなければ、音楽にあふれた僕の人生はまったく違ったものになっていたでしょう。
母は、僕に生を授けました。
母がいなければ、喜びと学びにあふれた僕の人生は、何もかも存在し得なかったでしょう。
そして母は、僕に愛情を注ぎました。
母親としての愛情、芸術家としての愛情、教育者としての愛情。
持てる愛情の全てを尽くして、僕の精神を、感性を、音楽技術を、表現力を豊かに育んでくれたのです。
母は、僕にとてつもなく大きな恵みを授けました。
そんな母へ、僕が最後にしてあげられるのは、精神誠意を尽くして見送ること。
1日牧師 - Once In A Lifetime -
今日、ついに納骨の日
いよいよ母とも、これでお別れです。
牧師様は日曜ミサが入ってるため、来ていただけません。
それは僕にとって好都合でした。
僕は、大きな決意を持って、今日という日を迎えました。
僕が司祭となって、母の納骨ミサをすべて執りおこなう、と。
この3日間というもの、寸暇を惜しんで準備に取り組みました。
ミサについて独自に学び、納骨のプログラム構成を企画しました。
僕はクリスチャンではありません。
そんな自分が、死者を送り出す祈りを唱え、詩篇や賛美歌をセレクトし、聖書朗読の言い回しを変え、詩篇交唱を抄訳するのは、愚の骨頂なのかもしれません。
でも、母の愛するものを一番よく知っているのは、地上で誰よりもこの僕です。
自分なら、母の好きな賛美歌、母の喜びそうな詩篇を熟知しています。
母が生前、ステージで弾いた賛美歌のオルガン演奏を、DVDからダビングしてミサ伴奏に使うなんて途方も無いアイディアを実行できるのは、自分しかいません。
それに、専門用語だらけの祈祷文を、仏教徒の参列者にも意味が通じるように噛み砕き、一緒に唱えてもらいやすい文言を編み出せるのも、門外漢の自分だからこそ客観性を持ってできること。
それに、母の死後、母の代わりに教会へ通い続けてきたことも、ミサについて理解を深める助けになりました。
仏教徒の僕が、クリスチャンの死者の納骨ミサを執りおこなう。
一見、破天荒なアイディアを、親戚一同は「親孝行だね」と快く賛同してくれました。
牧師様には、事前にご了承を得ました。
僕の構成したミサ内容を確認、歓迎してくださった上「冒頭は詩篇23でスタートすればよろしいですよ」とのアドバイスまでいただきました。
仏教では、仏事においてお坊さんが念仏を唱えないことには、どうにも形になりません。
ところがキリスト教のプロテスタントは、形ではなく気持ちを優先させるからこそ、このようなことが自由なのですね。
またキリスト教では死生観が他の宗教と異なり、死とは神の元に召されて祝福されるべきものとされます。
そこで、お墓に生ける花も、母好みのカラフルな洋花にしました。
一世一代の1日牧師。
心を込めて、母を見送ることができました。
これでひとつのピリオドを通過し、明日2021年5月31日から新たな章が開くのでしょう。
それは、新たなる「家」と呼べる場所を見出す旅路なのかもしれません。
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ピーター・ラビットを生み出した作家の半生を描いた映画「ミス・ポター」にインスパイアされて作りました🐇
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