ヒデキマツバラの猫道Blog

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リアリティーある歌を作るコツ教えます 〜オリジナルソング「Surfboard」制作インタビューより〜 - Reality in Fiction -

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パリ祭公演「Penelope 〜エーゲ海の真珠〜」より

 

その昔、スポーツが大好き少年でした。

リレー選手に選ばれるくらい足が速くて、毎日サッカーとテニスに明け暮れていたものです。

 

が、マリンスポーツはからっきし。。。

泳げないのがネックなんです^^;

 

そんな僕が、なぜかサーフィンの歌だけは作るという不思議^^

気づけば3曲も作ってました。

 

今日ご紹介するのは、最初に作ったサーフソング「サーフボード」

当時の制作インタビューも出てきたので、合わせて掲載しますね。

いい歌を作ろうとしている人たちにとって、そこから何かヒントが見つかるかもしれません。

 

 

ためらわずに脱ぎ捨てたシャツ


SURFBOARD ヒデキマツバラ サーフボード by Hideki Matsubara

 

SURFBOARD

ためらわず シャツを脱ぎ捨て

碧に染まる

沖めざすサーフボートは

魚になる

 

今チャンス逃せば

自分許せない

 

波しぶき 跳ね上げて

乗り越える 加速して

渦巻いた 轟(とどろき)から

踊り出す 空高く

 

潮からい涙の跡は

海へ続く

帆を張って 錨を上げろ

錆びつかぬうちに

 

うねる波の果て

明けぬ夜はない

 

エメラルド 謎めいた

きらめきを はね返す

珊瑚礁 七色に

満ちる愛 光のキス

 

砂時計 長い影

遠ざかる 浅瀬から

陽に灼けた 体ごと

少年は 風を切る

 

作詞・作曲・編曲/ヒデキマツバラ

 

SURFBOARD制作インタビュー

——今作のテーマは何ですか?

ヒデキマツバラ(以下HM)「『未知の波を乗り越えようとしている者』です。何かを乗り越えようと懸命になっている人たちに贈る応援歌ですね」

 

——曲作りのきっかけを教えてください。

HM「今年バラードばかり作っていたら、アッパーなダンスサウンドが浮かんできて、これは夏の海だなと。そこで少年と海をテーマにした海洋小説『イルカの島』から着想を得ました」

 

——小説の世界観が随所に生かされているわけですね。

HM「はい、サウンド的には疾走するサーフボード、砕け散る波しぶき、きらめくマリンブルーのサンゴ礁をイメージしながら、たった一人で広い大海原へ旅立つ少年の姿を描きました」

 

——随分とアップダウンの激しいメロディーラインですね。

HM「次々と押し寄せる高波をかたどったメロディーなんです。1オクターブ半強あるんで、踊りながら歌うのは正直キツイんですけど、本番では波に飲み込まれないよう頑張ります(笑)」

 

——歌詞もサマーオーシャン全開ですね。

HM「はい。最初にできたのが歌い出しなんですよ。『ためらわずシャツを脱ぎ捨て』のところ。これだ!って思いましたね。それは主人公の決意表明であり、僕にとっての決意表明。今までの自分を全部脱ぎ捨てて、新しい自分に挑戦していこうっていうね。その流れで、1番は挑戦者の視点から書きました」

 

——すると2番は?

HM「2番は傷ついた者の視点です。失敗者、落伍者といってもいいかもしれません。2番はサンゴ礁が登場するので、サーフィンというよりダイビングのイメージですね。

曲先行で作詞したんですけど、湧き出てくる言葉が次々とハマっていって。メロディーの上で歌詞がサーフィンしてるみたいに痛快でした」

 

リアリティーのある歌を作るコツ

——フィクションを歌にするコツは何ですか?

HM「実のところ、実話か作り話かは全然関係ないんです。きっかけが何であれ、それが僕ら作り手にリアルな感情を掻き立たせるものであれば、おのずと血肉の通った歌へと成長していきますからね。夢のような実話だって作れるし、現実的なファンタジーだって作れます。

この歌はフィクションきっかけで作り始めたんですけど、自分にとっては現実感そのものでリアルな感触でした。裸になって朝陽の海に飛び込む開放感とか、しおからい涙を味わった時の挫折感とかね。そういう想いをしたことのあるリスナーには共感していただけると思います」

 

——開放感だけでなく、挫折感まで歌に織り込んだのは、なぜですか?

HM「サーフィンにしてもダイビングにしても、単なる娯楽だけではなく、命の危険と隣り合わせですよね。瞬時の身体能力や判断力がいるし、度胸も試される。常にギリギリのところで、それでもひたすら前進していくしかない。まるで海神ポセイドンに命を預けてる感覚。自力で突き進んでいけるところと、自力じゃどうにもできないところ、その二極性を歌にも投影したかったんです。

それはソングライティングの秘訣でもありますね。僕すごい大発見をしたんですよ。ポジティブさに少しネガティブさを加えると、そこにリアリティーが生まれるんです。逆も同じ。そのことを見つけたのはミュージカル『甘茶姫』『続・甘茶姫』それに今秋公演される『続・続・甘茶姫』の楽曲を制作してた時なんですけど。

いい歌を書くコツは、陰陽のバランス感なんですね。だから明るい歌詞には陰を足して、暗い歌詞には一筋の光を射すといいんですよ。すると作り物の歌にリアリティーが出て、多面的で人間らしい歌に成長するんです。

歌に限らず何でもそうなんですよね。偉大な人物、偉大な映画、偉大な芸術など、世の中で偉大な存在というものは必ず光と影の両方を兼ね備えているものなんです」

 

タイトルは美男美女にすべし

——四つ打ちビートは久しぶりですね。

HM「はい『Total Eclipse』以来、3年半ぶりです。ここ何年かは意図的に四つ打ちを避けていたので。だってすごくラクなんですよ、四つ打ちにすれば既成パターンに当てはめて形にできちゃうから(笑) でもやっぱり音楽家として生きていくからには、型にはまらないオリジナリティーを追求していきたいですよね。で、新しいグルーヴを創るのに没頭したり、ジャズ/スタンダードっぽい曲を作ったりしてました。

そうやって一巡して四つ打ちに戻ったらすごく新鮮で、お約束パターンとか関係なく、自分らしい音がどんどん生まれました。それでリズムやフレーズの入り方はトランス的な手法なのに全然トランスぽく聴こえないんですよ(笑)

ちなみに今度のパリ祭コンサートでは、ポール・モーリアの定番曲に次々と新しいビートをまとわせていきますよ!

 

——タイトルなんですが、近作『Catwalk』『Aquadive』『Venus & Mars』に比べて、珍しくストレートなタイトルですね。

HM「新しい曲を耳にする前、まずタイトルを見ると想像力が喚起されますよね。僕いつもそこを大事にしてるんです。タイトルは楽曲の顔だから、タイトルが良いと期待値も膨らむ。まだ話したことない初対面の相手に一目惚れするみたいに(笑)

Catwalk』のように凝ったタイトルの良いところは、謎解きの要素があって、そこをまずリスナーに問いかけられること。で『Surfboard』のようにシンプルなタイトルの良いところは、謎解きがない分、誰もが具体的な共通ビジョンを描けること。マリンブルーの海、潮風、ブルースカイ、波乗りのスリルやスピード感、そういったものを想起できる。つまりシンプルなタイトルをつけるメリットは、それを目にした時点からリスナーの中で物語がスタートすることですね。

スポーツと無縁な自分のイメージを覆したという意味でも、今作のタイトルは気に入ってます(笑)」

 

——最後に、今度の船上パリ祭コンサート『Penelope 〜エーゲ海の真珠〜』ではどんな演出プランをお持ちかお聞かせください。

HM「ポール・モーリアの追悼特集コンサートなので、舞台セットにはエーゲ海をモチーフにしたギリシア風彫刻が並びます。あとポール・モーリアの楽曲にはギリシア風の振付をしました。新曲『Surfboard』は海の歌だから、振付に手旗信号を取り入れてみたいなと思って、今リサーチしているところなんですよ。どうぞお楽しみに!」

 

最後にひとつクイズです 

上記インタビューで語った通り、「サーフボード」は手旗信号で振り付けました。

2番終わりの間奏部分ですね。

そこでクイズです!

 

Q. 僕が手旗信号で発したメッセージは何でしょう?

 

正解した方には、もれなくいいことが起きます^^

答えは次回発表しますね。

 

 

◾️ヒデキマツバラ音源作品◾️

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PLANET EARTH ヒデキマツバラ by Hideki Matsubara