ヒデキマツバラの猫道Blog

音楽、マインドフルネス、それにユーモアを愛するネコ目線のキャットウォークブログ

【トランス】Gouryella - Ligaya 〜トランスミュージックの宇宙観〜 - Universe of Spirituality -

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今日はトランス音楽史に残る美麗トラックを取り上げます。

 

 

歌詞/対訳


Gouryella - Ligaya (Original Mix) (HQ)

LIGAYA

This is the first day of my life

For once I'm sure

That this is where I long to be


No need to know

If there is something more than this

No need to go

'Cos there is nothing more than this

 

My future is so clear

'Cos everything's right here

Inside of me

Inside of me

 

今日は 我が人生最初の1日

これぞ 永く切望していたものと

ひとたび確信するや

 

これ以上 多くを知り

突き進む必要はない

 

未来の先まで はっきり見通せる

すべては ここにあるのだから

己の内側に

 

対訳/ヒデキマツバラ

 

トランス音楽の真髄

トランスという音楽は、人智を超えたエピック(壮大)なものをテーマにしています。

そういう意味で、とても宇宙的な音楽です。

 

宇宙には二つあります。

文字通り、巨視的なマクロコスモス(大宇宙)としての銀河や星々。

そして微視的なミクロコスモス(小宇宙)としてのスピリット(霊性)です。

 

深宇宙のスケール感を持ちながら、スピリチュアリティーを内包した形而上(*)的な音楽。

それがトランス音楽の真髄です。

 

*形而上(けいじじょう)…形を伴わないため、通常の感覚で体験したり認識することができず、思考や直感によってその存在や本質を認められるもの

 

よってトランス音楽の精神性は、バッハに代表されるクラシックなバロック音楽にリンクしています。

実際トランス作品の中には、バロック音楽の対位法を用いて作曲されたものがあります。

今日ご紹介しているグリエラの『リガヤ』もそうした作品の一つ。

 

ちなみに「リガヤ」とは、フィリピンのタガログ語で「幸せ」の意。

ユニット名「グリエラ」は、オーストラリア原住民のアボリジニ語で「天国」を意味します。

 

楽園のグリエラ美学

本作はトランス界のスーパースターDJ、フェリー・コーステンが手がけた歴史的名盤。

時にメランコリックで、時にユーフォリック(多幸感)な雰囲気を持つトランス音楽の魅力が凝縮されています。

 

その究極の美しさを味わえるのが、こちらの激レアなインストゥルメンタルバージョン。

 


Gouryella - Ligaya (Original Instrumental) (2002)

 

ビルドアップしていくイントロは飛ばして、3分12秒から聞いてください。

重なりゆくシンセストリングスの耽美で荘厳なこと!

現実世界を超越して、精神宇宙の深淵に立った心地になります。

 

その甘美なフレーズがシンセリードやアルペジオシークエンスに引き継がれた途端、滲み出て来る哀愁感や焦燥感。

そして長いブレイクダウンを経て、四つ打ちビートに乗ってからの疾走感。

まるで、めくるめく神話世界の神々たちの実像を垣間見ているかのように圧倒されます。

 

ちなみに、このインストバージョンはアナログレコードとして、ドイツとオランダでわずかに出回っただけ。

幸いドイツのコンピCD『Trancemaster 3006』に収録されて、入手することが叶いました。

それさえも売り切れると価格高騰ぶりがすごかったですけど^^;

1ドル余りでダウンロードできるようになった今の時代には考えられませんね。

  

天国に続く架け橋

僕の母も、この『Ligaya』インストバージョンが大好きでした。

「いい曲ねぇ、涙が出る」

そう言って対位法のメロディーラインに聞き入ってました。

 

そのあと母は、必ずこう付け加えるのです。

「もし私が死んだら、葬儀でこの曲もかけて」

 

かねがね母からは、葬儀で流すBGMの選曲リクエストを聞かされていました。

その主だったものはクラシック作品なのですが『Ligaya』の他にトランス作品もいくつかあって。

同じくフェリー・コーステンの手がけたウィリアム・オービット『弦楽のためのアダージオ(バーバー作)』のリミックスや、Above & Beyond『アルビノーニのアダージオ』のレアなボーカルバージョン。

ジャンルを問わず、美しい音楽が大好きな母らしい選曲。

 

この1月、母が息を引き取りました。

いくら母の遺言でも、さすがに教会の葬儀ミサでダンスミュージックを流すわけにはいきません。

 

そこで代わりに、これをYouTubeにアップすることにしました。

僕が演奏した『Ligaya』2008年ライブバージョンです。

 

Ferry Corsten - Ligaya (Hideki Matsubara Remix) Gouryella ヒデキマツバラ

 

基本的に原曲のインストバージョンを忠実にコピーして、対位法の旋律をメインにまとめたもの。

でも歌詞自体はすごく良いので、スポークン(語り)として冒頭と間奏に挿入しました。

 

このサウンドが、天国の母へ続く架け橋となることを願って。

 

アーティスト プロフ

Gouryella グリエラ

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オランダを代表する二大トランスプロデューサー、Ferry Corstenフェリー・コーステン)とDJ TiestoDJティエスト)のスーパースター同士によって結成された、トランス史に残る伝説的プロジェクト。

1998年〜2000年にかけてシングル3作「Gouryella」「Walhalla」「Tenshi(*天使!)」をリリースしたほか、リミックス2作品を手がける。

いずれも傑作揃いなのに加え、寡作であることが拍車をかけ、レジェンド性を高めていった。

その矢先にティエストが脱退、フェリーのソロプロジェクトになる。

2002年、作曲家ジョン・ユーバンクと共作した4作目「Ligaya」発表後、グリエラは活動休止。

フェリー曰く「あまりにも伝説化しすぎて、グリエラという名を口にするだけで、みんな興奮して震えだすほど。だから軽々しくグリエラの作品を制作できなくなったんだ」

その後13年のブランクを経て、2015年に発表した復帰作「Anahera」が年間最優秀トランス作品に選出。

活動歴19年目の2016年には初アルバムをリリースするなど、コンスタントに活動を続けているが、寡作であることに変わりない(笑)

 

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◾️ヒデキマツバラ音源作品◾️

🇪🇸スペインをテーマに作った神秘的なダンスサウンド💃


🇪🇸SPANISH EYES ヒデキマツバラ by Hideki Matsubara feat. Caroline Lavelle (from “Breathe” by Art of Trance)