ヒデキマツバラの猫道Blog

愛猫家ミュージシャン、ヒデキマツバラのキャットウォークブログ

㊗️愛弟子がピアノコンクール予選突破しました🎊 〜勇気あるミスタッチこそピアノ上達への鍵〜 - Value of Failure -

エリーゼピアノコンクール予選会場にて

 

前回記事で話題にした在籍2年の教え子まどかさんのことで、嬉しいご報告があります。

先日の広島予選を突破して、秋の東京本選に出場することになりました!

応援スターを贈ってくださった phxxiusさん、marlleyさん、marinchu_bbzさん、どうもありがとうございます(^ω^)♪

 

前回記事はコチラ

 

 

コンクール予選の日

その日は父の命日。

仏前に手を合わせる。

「じゃ、まどかさんのサポート、行ってくるよ」

 

真夏の陽射しがジリジリ照りつける正午、空を見上げた。

広島で過去最高の暑さだったっけ、父が逝った夏は。

 

会場受付で、まどかさんファミリーとバッタリ。

足元に抱きついてきた涼くんが「ママねぇ、いま着替え中だよ」

 

当人に伝えるべきことはレッスンで伝えてあるから。

ここは下手に出しゃばらず、本番前は彼女1人きり集中させてあげよう。

 

結果より価値あるもの

結果が全てじゃない。

この7ヶ月に渡る準備期間中、結果について僕は一度も言及しなかった。

 

だってまどかさんは、結果よりも価値ある偉大なものを、もう手に入れてるのだから。

チャレンジする勇気を。

 

だから、のびのび送り出してあげたい。

どんな結果が待っていようと、彼女の勇気を称えたいから。

 

思いがけないミスタッチ

51組中、11番目。

よしよし、いい順番だ。

出番が早すぎず、待たされすぎず、場の雰囲気が出来上がったタイミング。

 

まどかさんの名が告げられる。

新調した赤紫のドレスに、きらめくスパンコール刺繍。

彼女の愛するショパンマズルカが始まった。

 

ん!

冒頭いきなり弾き損ねた装飾音。

続く2小節目の装飾音もすっぽ抜けた。

今まで一度も間違えたことのない箇所でミスタッチ。

 

緊張して場に飲み込まれているだけが理由とは限らない。

人前で弾くと、思わぬところでほころびが出てくることは、以前から警告していた。

 

でも指導者として、僕はその手のミスを歓迎したい。

それは演奏が完成間近にあるからこそ生ずる油断であって、人前で弾く勇気のない人には起きようがないミスなのだ(笑)

 

それにミスは誰にでも起こり得るので、ミスしないように弾くよりも、ミスから的確にリカバリーすることの方がずっと肝心だ。

むしろ練習段階でそうしたミスをたくさんするほど、リカバリーも上手くなり、本番に強くなれる。

 

まどかさんのミスしたタイミングも良かった。

演奏中盤でミスって自信がグラついてなし崩しになるより、序盤でつまづいたほうがかえって気が引き締まり演奏に集中しやすい。

期待通りに演奏を立て直したまどかさんは、持てる情熱を尽くし、5分間の演奏を終えた。

 

 

ぼっちじゃない

「ヒデキ先生、わざわざ来ていただいてありがとうございます」

休憩時間中、僕の元へ挨拶に訪れたまどかさん。

よかった、笑顔だ。

 

旦那さんとお子さんたちは、早々に会場を後にしていた。

残りの出場者が終わるまで、まだ数時間かかるだろう。

 

こういう時の気持ち、幾度となく経験してきた。

やりきった感とやりきれなかった感の板挟みになりながら、ひたすら結果を待つ時の気持ち。

誰かそばにいてほしい、この気持ちをわかってくれる人に。

 

労(ねぎら)いの言葉をかけた僕は、隅の席に1人戻ろうとする彼女に言った。

「ここ座らない? 残りの人たちの演奏、一緒に聴こーよ、ね?」

 

「クラシックピアノの先生は厳格で恐れ多い」というイメージを覆す僕の軽口に、まどかさんはポカンとしつつ嬉しそうに同意した。

そう、こういう場合、僕は師の立場を貫くべきではない。

最大の味方になって慰め、サポーターに徹し、庇護して守り抜く時なのだ!

 

手放した夢の行方

彼女は予選通過の夢を早々に捨てていた。

でも、かえってそれが良かったかもしれない。

他の出場者たちのピアノ演奏に浸り、コンクール自体を楽しもうとしているのが伝わってきた。

 

「まどかさん、ヘアサロン行ったんだねー。朝、忙しかったでしょ?」

軽口トークを続けるうち、意外な事が判明。

朝一度まどかさんは街に出て、地下街と百貨店内2カ所でストリートピアノを弾いてリハーサル代わり、一旦帰宅してまたこうして街に出てきたのだと。

これほど自発的な門下生は、我がスタジオ59年の歴史でも初めてだ。

 

こうして5時間半にも及んだ予選。

その結果に、2人で驚き喜び合った。

 

終演後のカメラマン

帰り際「そのドレス姿、もう旦那さんに撮ってもらった?」と聞けば、首を振るまどかさん。

「えー!? 撮らなきゃ嘘でしょ! 撮ったげる! こっち来て、こっち!」

 

こうなりゃ、ピアノ講師もサポーターもセラピストもプロデューサーもカメラマンも似たようなもん(笑)

「はい、次は客席の前に出て! じゃあ、舞台上がって! ピアノの前よ! もっと寄って!」

場をしきりまくって、終演後の会場を引き回しながら、その晴れ姿をカメラに収めたのだった^^

 

 

祝意のカタチ

予選翌日、作曲クラスのラベニアくんとオンラインレッスン中、ピアノコンクールの話題になった。

「それはすごいですねぇ、おめでとうございます」

まどかさんとは一面識もないのに、思いがけぬ祝意になんだか胸が熱くなった僕。

 

そんなラベニアくんも、オリジナル曲でボカロコンテストに挑戦し続けて3年目。

まどかさんもラベニアくんも、バンドやアンサンブルと違い、単独で自分を磨きながら登頂しようとしているチャレンジャー。

だから教え導くのはもちろん、僕が最大の理解者&サポーターになって(時にカメラマンになったり)なりふり構わず尽くしてあげたい!

 

じゃあ、僕の立場で次にまどかさんにしてあげられることは?

秋の東京本選で実力を出し切れるように取り計らうこと!

 

そう結論づけると、さっそく市内のコンサートホールを借り切って、本番さながらの臨場感で練習できるよう手配した。

それが彼女の勇気に見合う、僕からの祝意でもあるから。

 

遺影とバースデイギフト

「まどかさん、予選突破できたよ」

遺影の向こうで、両親が微笑む。

 

日本で5本の指に入るほどピアノを売った父。

音楽を僕に授け、美美の環スタジオを遺してくれた母。

「2人がいなかったら、今日の喜びはなかったよ」

 

折しも今週バースデーを迎える僕。

愛弟子からの少し早いプレゼントを、両親に報告した。

 

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