(出典/アントニオ・カルロス・ジョビン「Wave 〜波〜」)
世界一美しいレコードジャケットを選出したら、トップ10入り確定でしょう。
緑色のキリンジャケットがあまりにも美しい、アントニオ・カルロス・ジョビンの歴史的名盤です。
その冒頭を飾ったボサノバの名曲が「Wave 〜波〜」
先日のステージで初カバーしました。
ジョビンの代表作「イパネマの娘」や「おいしい水」は何度かカバーする機会に恵まれてきました。
「波」もいつかやりたい、いつかやりたい、と思いながら、季節と舞台コンセプトに合う機会をうかがうこと、実に8年越し。
ちょうど50年前に誕生したオーガニックな生演奏を、現代のデジタル技術で表現する。
それは江戸時代の家屋をセメントで再現するようなもの。
ベースやドラム等のリズムパートは、音楽を支える構造上、どうしてもモダンに編曲せざるを得ません。
でも、それ以外の菅弦パートは、すべて原曲通りに耳コピーしました。
もうあまりに原曲が偉大で完璧すぎて、僕の自由裁量ですべて編曲し直すなんて冒涜ですから。
とりわけ1コーラス目のストリングス三声帯は、魂が震えるほどの美しさ。
もし夢というものがメロディーで聴けるとしたら、まさにあのフレーズでしょう。
編曲家クラウス・オガーマンは昨年他界されたばかりですが、彼の品格あふれる耽美なサウンドは、人類が滅びるまで永遠に人々を夢見心地にさせることでしょう。
さて、DTM/シンセ打ち込みでの再現が最も困難なパート、それがギターなんです。
エレピでも代用は効くんですが、ギターほどボサノバを体現した音は他に類がなく。
ギターを打ち込むからには、機械っぽさを殺して、ナチュラルに聞かせなければなりません。
デュレーション数値に細かく変化つけながら、わずかにタイミングをずらしてグリッサンド気味にプログラミング。パンを振っては、サブトラックを作ったり。
そうやって3昼夜ずっと数値とにらめっこしてたら、さすがに気が狂いそうでした(笑)
パソコン凝視しすぎて、目もしょぼしょぼです(泣)
あぁ、専属ギタリストがいてくれたら。。。
とまぁ、苦労の甲斐あって、本番ではバックトラックにピアノかぶせて演奏するのが、ものすごく心地よかったんですよ。
アップダウンにうねるメロディー、さざ波のごとき和音のシンコペーション、そして大波に乗った至福の三連符。
コンサート会場のカワイピアノがまた、ものすごく美しい音色を出してくれてね。
弾いてるうちに、まるでサーフィンしながら瞑想しているような恍惚状態へ。
あぁ、うっとり。
全然泳げないのにサーフィンに憧れてる僕が乗ることのできる唯一の波。
だから音源制作は大変でも、ボサノバはやめられない。
いつか再演する機会があれば、もっとアドリブ入れて、いろんな波遊びを楽しみたいですね。
ボサノバ命なギタリストのあなた、僕と一緒にジャムりませんか?
ブログランキングに参加しています。
当ブログを応援したい!という方は、下の【ミュージシャン】ボタンを押して下さい。
1日に1回投票することができます。 応援ありがとうございます。