とことん見たまま感じたまま載せてまいりました松山ツアーシリーズ。
これがビックリするほどアクセスいただきまして、夢でも見てるんじゃないかと頬をつねる始末です^^
もしかするとこんな記事でも、松山旅行や瀬戸内海クルーズを検討してる方とかグルメな方々のお役に立てていたりするのかな?
だとしたら大変うれしいことです。
シリーズ4回目の本日は、僕が松山を愛してやまない思い出話も合わせてお話ししますね。
松山の香
道後館で豪華な懐石料理をいただいた後、1階の売店を覗いてみました。
寝たきりで留守番してる母に、何か松山の香を感じられるお土産でも。
並みいるご当地グルメに目移りしながら、選んだこちらの二点。
スズメのエサ程度にしか白米が食べられなくなってる母のため、ご飯の進む海苔をまずチョイス。
伊予柑(いよかん)ポン酢は味が全然想像できず、購入に踏み切るのはなかなか冒険でしたが^^
これがものすごくコクがあってまろやかな美味で、購入して大正解でした♪
おかげで、母もハトのエサ程度にご飯が進むようになりました^^
余談だけど、我が音楽スタジオの各種備品、このところ本来の使用目的から外れ、撮影用背景として大活躍です(笑)
松山ビフォアアフター
この日の午後は各自、自由行動でした。
お買い物や散策に出るもよし、温泉や足湯を楽しむもよし。
そういえば松山にはラフォーレがあって、そこを通るたびにいつか入ってみたいなと思ったものです。
ところが送迎車の運転手さん曰く「あぁ、ラフォーレなら撤退しましたよ。ラフォーレがあった跡地ならご案内できますが」とのこと^^;
ツアーメンバーが「そういえば◯◯もありましたよね」と訊けば「それも退店したので、あとを引き継いだテナントならご案内できますよ」と^^;;
そんなわけで、すっかり廃れてしまった松山の図を思い描いていた僕でしたから、街に出てみてビックリしました。
のどかだった温泉街は大変貌を遂げ、 今やご当地グルメやご当地キャラであふれかえる一大観光産業地に!
街並みや店構えは和洋問わずスタイリッシュになり、若者や外国人観光客でごった返しています。
サブカルチャー的に遊べる街。
見てるだけで楽しいものです♪
坊っちゃんの街
そんな新しい松山の街中で、懐かしいものに出会いました。
坊っちゃん列車です^^
これだけは僕の子供時代からちっとも変わらないでいてくれる。
あぁ、松山に来たんだなぁって気持ちにさせてくれます。
そもそも温泉街だった松山が観光地として脚光を浴びたきっかけは、夏目漱石の小説「坊っちゃん」
ここは夏目漱石が中学校の英語教師として赴任した地であり「坊っちゃん」の舞台ともなった場所。
坊っちゃん列車も坊っちゃん団子も、夏目漱石が小説の中に登場させたからこそ、歴史の中に埋もれず今に残ったのでしょうね。
そうそう、この前部屋の整理してたら、懐かしいものが出てきました!
これ、板で作られたハガキなんです。
「坊っちゃん」からの一節が引用されてますね。
松山旅行の思い出として、子供時分におこづかいで買い求めたもの。
誰に宛てて出すこともなく、ずっと手元において大事にしていたのは、なぜでしょう?
そこには僕の「松山愛」を象徴する想い出の日々が詰まっているからでしょうか?
想い出の団子屋
久しぶりの松山上陸。
僕はどうしても訪ねておきたいところがありました。
その昔、松山に来るたび、いつも行っていたお団子屋さんです。
商店街の片隅にひっそり静かにたたずむ、それはそれは小さなお団子屋さんでした。
中でお団子が食べられるよう、ちょっとしたしつらえがしてあり、店主のおばあちゃんがいつもニコニコしながらお茶を入れてくれたものです。
僕らが松山を訪問する楽しみは、美味しい坊っちゃん団子をいただくひととき、人のいいその純朴なおばあちゃんとお話しすることでした。
別にどうということのない、旅の一幕にもならないような素朴な時間だったけれど、あのおばあちゃんと過ごしたひとときが忘れられません。
旅って不思議なものですね。
由緒ある史跡名所めぐりよりも、その狭間で不意に巡りあったものの方が、思い出深く胸に刻まれているのですから。
行きすがりの出会い。
ささやかなふれあい。
こうして言葉にしてしまうと、意味も価値も色あせてしまうもの。
だけど時間を越えてなお愛おしいもの。
名前さえ知らないあのおばあちゃんと過ごしたひととき。
それを思い返すたび、心に明かりが灯って、じんわり暖かく優しい気持ちになれるんです。
まるでふるさとに帰ってきたかのように。
あの団子屋は今
なにしろ僕が小学生の頃の話ですからね。
今や、お団子屋のおばあちゃんも天界に昇られて久しいことでしょう。
それでも松山に来たからには、あのお団子屋さんに行ってみようと思ったのです。
まだ、あるよね?
もしかして、もう店をたたんでたりして。。。
お店に向かいながら、胸中複雑。
そう、この先だ。
商店街の端っこの。
えぇ、そのお団子屋さんはありました。
見違えるように広く綺麗になり、和風モダンなたたずまいで。
カウンターの中では、おばあさんと若い女性が愛想よく接客にあたっています。
お店がまだそこに残っていたことを喜びつつ、僕は一抹のはかなさを覚えました。
僕でさえ、あの頃のように小学生じゃいられないんだもんね。
お店や街が変わって行くのも、誰にも止めることはできないんだよ。
そう自分に言い聞かせながら。
あのおばあちゃん、あのお団子屋さん、あの商店街、そして松山の街。
楽しかった家族旅行の思い出と相まって、すべては帰らぬ日々。
それが今も望郷の念を掻き立てるのでしょうか。
広島から海を渡っての道中、僕はかすかな望みを胸にしていました。
昔のように店先で坊っちゃん団子をいただきながら、店員さんたちと先代のおばあちゃんの思い出話にでも花を咲かせられたらいいなって。
でも新時代の新店舗でキビキビ立ち働く店員さんたちを目にして、僕の気持ちは吹っ切れました。
思い出はこのまま胸の中にしまっておこう。
僕はお団子屋さんに祝福を送ると、店の前を通り過ぎました。
「いざさらば、あの懐かしき松山よ」
(続く)
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