ヒデキマツバラの猫道Blog

音楽、マインドフルネス、それにユーモアを愛するネコ目線のキャットウォークブログ

天使降臨 - Angel's Landing - 〜サラ・ブライトマンHYMNツアー公演(第七夜)〜

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サラ・ブライトマンの最新ツアー「HYMNワールドツアー」レビューも7回目を迎えました。

前回記事をお読みいただければ、今日の記事がより深いものになるかと思います。

 

hidekimatsubara.hatenablog.com

 

 

もうひとつの物語

絶望と苦難に満ちたコンサート第1部。

そして希望や救いに溢れた第2部。

 

もしかするとHYMNワールドツアーに秘められた物語は「天路歴程」ではないだろうか?

前回の記事で、そのように解釈してみました。

 

さらに「天路歴程」以外にもうひとつ、強く伝わってきたイメージがあります。

それは、戦争や大災害で荒廃した街の惨状と、復興への道のりをテーマにした物語。

今日はそれについて述べていきましょう。

 

サラが広島の地で歌うことの意義

そう思ったのも、広島公演の会場となったホールのロケーションです。

ツアーレビュー第一夜でも触れた通り、過去の公演会場は広島市内から車で30分の距離にある郊外のアリーナでした。

ところが今回は原爆が投下された現場からほど近い、平和公園の目と鼻の先にあるホール。

 

そこは、今から74年前、人類史上最悪の悲劇に見舞われた場所でした。

そこは、原爆の熱線と爆風に襲われ、もがき苦しむ人であふれた街でした。

かろうじて歩ける者は水を求め、ホール裏手にある川で力尽きていった、そんな場所でした。

そこで「破滅の街」と「希望の光」という2つのテーマを舞台化したサラ。

 

コンサート第1部では「原爆投下後の広島の惨状」「失った家族」「生き残った被爆者たちが負った苦難」を歌っているように思えました。

特に顕著だったのが荒廃した街の景色を歌った「Anytime Anywhere」を筆頭に、「嘆きの天使」「Stranger In Paradise」「カルペ・ディエム」「ルクレツィアの物語」「ミゼレ・メイ」「フィリオ・ペルドゥート」「Who Wants To Live Forever」「さようなら、ふるさとの家よ」です。

詳しくは前回記事に掲載した歌詞をご参照ください。

 

そして第1部最後の「ミラクル」から第2部への展開を読み解くと「戦後70年は草一本生えないと言われた広島が復興していった栄光の歩み」を歌っているように感じました。

そういう意味でも、この度の公演は僕の胸に迫る特別なコンサートとなったのです。

 

皆に永遠の安息を

もしそれがHYMNツアーの究極のテーマだとしたら、ハイライト曲は第2部の「ピエ・イエス」でしょう。

アンドリュー・ロイド・ウェバー「レクイエム」を代表する1曲で、サラにとってグラミー賞クラシック新人部門にノミネートされた大ヒット曲です。

 

被曝地でサラが「ピエ・イエス」を歌ったことは、歴史的に見ても意義深い出来事でした。

ここでサウンドクリップとともに訳詞をご紹介しましょう。

 

www.youtube.com

 

Pie Jesu ピエ・イエス

慈しみ深きイエス

恵みあふるるイエス

世の罪を取り除くお方

皆に安息をお与えください

永遠に

皆に休息を

とこしえに

 

人生の光と影

さて、広島人としてHYMNツアーを再解釈してきたわけですが、話は広島だけにとどまりません。

おそらく盛岡公演に行かれた方々の中には、東日本大震災のことをイメージされた方がいらっしゃったことでしょう。

ポーランド公演では、アウシュビッツに思いを馳せた聴衆もいたことでしょう。

どこの国の公演でも、それぞれ過去の戦争や大災害に思い至った聴衆がいたに違いありません。

 

巨視的に見ると「歴史的に人類を襲った悲劇と惨状、そしてそこからの復興」

微視的に見ると「悲劇に翻弄されたひとりの人間の苦難と、それを克服する気概」

それこそサラがHYMNツアーで描こうとした真のコンセプトではないでしょうか!

 

僕はそこから更に壮大な仮説へと行き着きました。

彼女はツアーで世界を巡りながら、究極の慰霊をしようとしていたのでは!?

 

サラの歌の深さを知るファンの方々なら納得してくださるでしょう。

彼女の作品の多くが「人生の光と影」をテーマにしています。

表面上は夢のように美麗なサウンドとイメージに包まれていても、歌の中でブライトマンは「人生で負った傷と痛みを抱えた人たち」のことを代弁しているのです。

 

天使が舞い降りた街

サラの歌声は「天使の歌声」と形容されます。

それは彼女がミュージカル「オペラ座の怪人」で演じた、天使の歌声の持ち主クリスティーヌにあやかったもの。

 

でもこの度のツアーで、彼女は歌声のみならず、その志までも天使を体現した存在でした。

数々のHYMN(聖なる歌)を引っさげ、 文字通り天の使いとなって、この惑星のあらゆる街に舞い降りたのです。

尊い御霊を癒し慰めるために、全身全霊で。

 

そのことを読者の皆さんにお伝えしたくて、広島公演から8ヶ月経った今日、やっと文章にすることができました。

次回いよいよHYMNツアーレビュー最終回です。

 

サラ・ブライトマンHYMNワールドツアー広島公演レビューシリーズ

●第一夜「僕の街のサラ・ブライトマン

hidekimatsubara.hatenablog.com

 

●第二夜「サラ・ブライトマン『HYMN』ワールドツアー来日公演in広島」

hidekimatsubara.hatenablog.com

 

●第三夜「涙のサラ・ブライトマン

hidekimatsubara.hatenablog.com

 

●第四夜「嵐のスタンディングオベーション

hidekimatsubara.hatenablog.com

 

●第五夜「サラ・ブライトマンがHYMNワールドツアーで実現したこと」

hidekimatsubara.hatenablog.com

 

⚫︎第六夜「HYMNワールドツアーに秘められた物語」 

hidekimatsubara.hatenablog.com

 

DJヒデキマツバラ presents ニューイヤーカクテルパーティー
Mon Plaisir 〜モン・プレジール〜

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【Date】2020-1-19(Sun)14:00 - 15:50
【Place】Miminowa Music Studio
【Admission】 ¥2750 (with Special Cocktails & Tapas)
【Performance】DJヒデキマツバラ、MAYUMI、コンスタンツェ、SAM
【Reservation】ヒデキマツバラTwitter 又は info@miminowa.com までご連絡ください(2020/1/10ご予約〆切)

パフォーマー募集中】2020/1/10までにツイッターかメールでご連絡ください。
【クリエイター募集中】 2019/12/31までにツイッターかメールでご連絡ください。

 

 人助けのことを歌ったオリジナル曲「Ring The Bell」


RING THE BELL ヒデキマツバラ by Hideki Matsubara