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ポール・モーリアの魅力 〜サウンドプロデューサーのお仕事〜 - Chic as Paul Mauriat -

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プチお久しぶりです^^

このところサウンドプロデュースのご依頼が続いていて、バタバタしてます。

 

テレビ/映画/舞台/アニメ等、ありとあらゆるショービズ産業が立ち行かなくなったコロナ時代の今。

その只中にありながら、例外なのが我々セルフプロデュース型ミュージシャンたち。

いつも通りに制作の全プロセスを自室で自己完結できるのは、本当に有難いことです。

 

今日はまず、プロデューサーの役割からお話を進めていきましょう。

 

 

アーティスト=プロデューサー

アーティストとプロデューサー、両者を文字通り区別するなら

アーティスト=表現者

プロデューサー=制作者

 

両者の垣根が曖昧になったのは、20世紀末でした。

機材の値下がりとコンピューター化によって、既存のシステムが一変したのです。

 

他者にプロデュースしてもらう必要がなくなったこの30年。

パソコンさえあれば、アーティストは自室でみずからの作品をプロデュースできるようになりました。

 

人件費もスタジオ使用料もかけないで制作された作品が、世界中のラジオやMTVでヘビロテされる。

一時代前には予想もしなかった奇跡の時代です。

 

アーティスト=プロデューサーという図式が当たり前になって久しいですが、もしかすると時代を問わずそういうものなのかもしれません。

昔からプロデュース業を生業にしている方々って大抵、かつてアーティストとして活動された過去を持っていますからね。

クリエイティブな点において、両者は何ら変わりないわけです。

 

アーティスト≠プロデューサー

とはいえ、アーティストとプロデューサーの役割となると、似て非なるもの。

例えるなら、創作料理と定番料理の違い。

 

僭越ながら自分の場合

アーティストのヒデくん → とことん創作料理を目指します!

プロデューサーのヒデくん → とことん定番料理を突き詰めます!

 

具体的に述べると

アーティスト → 食材選び/味付け/盛り付けまで、自分独自のレシピ/メニューを作ります!

プロデューサー → 他人が持ち寄った食材を自分の持ち味で煮込み、定番料理に仕上げます!

 

目指すベクトルは

アーティスト → 世界に一人しかいない自分らしさの地平線を極めます!

プロデューサー → 多くの聴衆のハートを掴んで共感を呼び起こします!

 

ただし、もしそれが裏目に出てしまった場合

アーティスト → 独りよがりな作品に陥ります。例えるなら、なかなか売れない専門書

プロデューサー → 大衆向けのほどほどな流行作品しか生み出せません。例えるなら、翌週には廃棄される週刊誌

 

でも両者が一体化することで、コインの表裏に似た補完関係ができ上がります。

主観と客観を併せ持つと、自分らしい作品でありながら、人の共感を集めることができるのですね。

 

食材と持ち味

他人の食材を自分の持ち味で調理するプロデュース業。

その実例を、ポール・モーリア「涙のトッカータ」で聞いていきましょう。

 

まずはポール・モーリア本人が指揮している原曲から。

 


涙のトッカータ ポール・モーリア

 

子供の頃、母に連れられ、毎年ポール・モーリア公演を観に行ったものです。

彼はすごくユーモアある方でして、曲間でメンバー達と一緒に楽器で音楽コントをされていたのが子供心にすごく面白くて印象に残ってます。

 

さて、この「涙のトッカータ」を僕がアレンジしたらこうなりました。

 


【ポール・モーリア】涙のトッカータ / Paul Mauriat - Toccata / ミュージックハウス美美の環

 

2007年パリ祭コンサートショーの模様です。

前年に亡くなったばかりのポール・モーリアを追悼して、客船「銀河」船上で「日本のエーゲ海」と言われる瀬戸内海をクルーズしながら公演しました。

 

原曲との違いは、モダンな打ち込みドラムサウンドのほか、ポロロンと玉を転がすようなシンセ音が高音域からベースラインまで縦横無尽に入っているところ。

ポール・モーリアによるポップオーケストラの定番料理を、僕のシンセサイザーで新鮮な味に仕立てたい!と意気込んで制作しました。

ピアノの母がすごく気に入ってくれて、当時このサウンドアレンジでよく共演したものです。

 

ポール・モーリアの魅力

制作に際して大事にしたこと。

それは「ポール・モーリアらしさ」を損なわないこと。

 

では「ポール・モーリアらしさ」とは何か?

それは「粋なバカンス」

 

不思議と彼の音楽には、年齢を超越した若さが宿っています。

そこには軽やかに踊る南フランスの陽射しや、地中海のそよ風があります。

その軽快さ、気品、純粋さ、ユーモア。

そういったものこそ、聴衆がいまだに彼の音楽を愛してやまない所以です。

 

今日の記事でポール・モーリアの音楽に触れる方が増えてくだされば、こんなに嬉しいことはありません。

 

他にもポール・モーリア追悼公演のライブ動画を公開してます。よろしければ是非ご覧になってみてくださいね。

そよ風のメヌエット


【ポール・モーリア】そよ風のメヌエット / Paul Mauriat - Petite Mélodie / ミュージックハウス美美の環

 

恋は水色 


【ポール・モーリア】恋はみずいろ シンセサイザー by ヒデキマツバラ Paul Mauriat - Love Is Blue / L'amour Est Bleu

 

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