ヒデキマツバラの猫道Blog

ドラネコ目線でサウンドクリエイターの日常に潜む笑い、癒し、気づき、魔法をつづったキャットウォーク・エッセイ

ピーター・ラビット作家の秘密 〜オリジナルソング『野バラの下で』制作秘話(後編)〜 - Secretly Under The Rose -

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ビアトリクス・ポター作『ピーター・ラビット』

 

前回に続いて、オリジナルソング『野バラの下で』の制作秘話を綴っていきます。

この楽曲に影響を及ぼしたのは、幼い僕の感受性を育んでくれた二大イギリス童話「ピーター・ラビット」「のばらの村のものがたり」でした。

 

(偶然にも、今夜の金曜ロードショーは『ピーター・ラビット』ですね!)

 

前回記事はこちら。

 

 

焼きたてパンの香りから生まれた物語 - A Day of Open Hands -

日曜の朝、都心の大交差点。

焼きたてパンの香りの魔法にかけられた僕は、小さな物語を生み出したのでした。

それは、こんなふうに始まりました。

 

ある日曜の朝のこと。

焼きたてのパンの香りが、その家を満たしました。

 

「おはよう」

窓辺でブンブン羽音を揺らしているミツバチと、挨拶を交わします。

そろそろ、お茶でも沸かしましょうか。

 

やがて遠くから、澄んだ音色が近づいてきます。

チリン、チリン。

 

さぁ、ドアを開けて、今日という日を迎え入れましょう。

薬指に光る誓い。

 

さぁ、その手を取って、今日という日を招き入れましょう。

あなたという伴侶を得て。

 

ウェディングを迎える朝の情景。 

希望に満ちた日々への窓を開ける。

そんなイメージで『野バラの下で』歌詞の1コーラス目は出来ていきました。

 

メルヘンな世界観は、ジル・バークレムの絵本童話「のばらの村のものがたり」の夏物語「小川のほとりで」からインスパイアされたもの。

粉挽き小屋で粉だらけになって働くネズミのダスティの愉快な結婚話です。

 

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作詞家の役割 - Shades of Happiness -

こうして幸せなウェディングソングとして作り始めた『野バラの下で』

そのままハッピーエンディングで完成させることもできたでしょう。

 

でも光を描写するのが作詞家のお仕事なら、影を描写するのも作詞家のお仕事です。

2コーラス目以降では、幸せの裏側に潜んでいるものをクローズアップすることに。

 

そこで描きたかったのは、人知れず流した涙のように苦いもの。

そのヒントを与えてくれたのが、映画『ミス・ポター』でした。

 

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ミス・ポター物語 - Story of Miss Potter -

映画好きな母のおかげで、僕は素敵な映画をたくさん知ることができました。

ミス・ポター』もそのひとつ。

 

絵本童話『ピーター・ラビット』の作者として名高いビアトリクス・ポター女史。

その生涯を、レネー・ゼルウィガー主演で描いたのが映画『ミス・ポター』でした。

 

良家の子女だったミス・ポター

成人したら家庭に入り子供を産むのが女性として当然の務めだった当時、彼女は女流童話作家を目指します。

 

服を着たウサギの話を出版してくれる会社はなかなか見つかりませんでしたが、ついに夢が叶います。

担当編集者の青年ノーマン(役:ユアン・マクレガー)の力添えで、ピーター・ラビットの物語は出版され、空前のベストセラーに。

 

秘密のエンゲージリング - Secret Engagement -

ミス・ポターの最大の理解者であった編集者ノーマン。

両者は親交を深めてゆくに従い、お互い惹かれ合うようになりました。

やがてミス・ポターはプロポーズされます。

 

その結婚に反対したのが、ミス・ポターの両親でした。

お屋敷育ちのミス・ポターと、商売人であるノーマンとでは、身分違いだったのです。

 

が、ついに折れた両親は、条件を出します。

「婚約は秘密にすること。特に相手の家には伏せておくこと」

 

ところが、不意に悲劇がミス・ポターを襲います。

婚約からわずか1ヶ月後、白血病に倒れた婚約者ノーマンは帰らぬ人に。

 

心の張り裂けたミス・ポターには、さらなる追い打ちが。

秘密の婚約であったため、ミス・ポターは誰にも胸の内を明かせず、ノーマンの葬儀に参列することさえ叶わなかったのです。

 

幼な恋 - Love in Childhood -

ショックのあまり、ミス・ポターは自室に閉じこもりました。

食事も喉を通らず、ひたすら創作に打ち込みます。

 

もはや生家が「故郷」と呼べる場所ではなくなったことに気づいた彼女は、家を出ます。

移り住んだ先は「心の故郷」すなわち少女時代の夏を過ごした自然豊かな湖水地方でした。

 

さて、湖水地方で懸念されていたのが、売却された土地に開発業者の手が入ること。

自然を愛する彼女は、絵本の印税で土地を買い上げ、自然保護活動に努めます。

 

そんな彼女の活動を、弁護士としてサポートしたのがヒーリスという男性でした。

少女時代のミス・ポターを知る彼は(*訳注:史実ではなく映画上の設定)彼女に惹かれ、二人は伴侶になったのです。

 

二つの愛情物語 - Love Stories -

編集者ノーマンとの秘密の婚約。

そして思いもよらぬ悲しい顛末。

 

弁護士ヒーリスとの再会。

そしてハッピーエンディング。

 

この二つの愛情物語がオリジナルソング『野バラの下で』に圧倒的なドラマ性を付加しました。

ミス・ポターの視点。

ノーマンの視点。

ヒーリスの視点。

『野バラの下で』は各人の視点から婚約や結婚をテーマに、希望と失望の両面を描いて完成しました。

 

君を待ってた 僕の瞳も乾かぬまま - Right Beside You -

 
野バラの下で ヒデキマツバラ by Hideki Matsubara 

 

野バラの下で

作詞・作曲・編曲/ヒデキマツバラ

 

やがて 日曜日の朝は

焼きたてのパンの匂い

羽音揺らすミツバチ

おはよう 交わす

お茶を沸かそう

 

澄んだベルの音 近づいたら

ドアを開けて 君を迎えよう

 

野バラの下で 君を見ていた

僕の大事な 幼な恋

 

あの日 小さな足跡

追いかけたら 屋根裏部屋

粉だらけのエプロン

頬を伝い にじむ雫

 

ひざを抱えた後ろ姿

ずっとそばで 君を守りたい

 

野バラの下で 君を待ってた

僕の瞳も 乾かぬまま

 

野バラの下で 君の手を取り

薬指へと光る 愛の誓い

 

病める時も 健やかなる時も

野バラの下で 君と共に

 

バラの下にあるもの - Secretly Under The Rose -

 

さて最後に、タイトルの由来について補足しておきましょう。

このロマンティックな響きの裏には、意外なニュアンスがあるのです。

 

英語で「under the rose(バラの下で)」とは「秘密に、内緒に」を意味します。

その由来を遡(さかのぼ)ると、なんと古代ローマ時代!

当時、バラの下で交わした会話は一切口外しないという約束があったのだとか。

今でも宴会場の天井や教会の告解席にバラが刻まれていれば、そこでの会話は秘密にするというサインなのだそうです。 

 

『野バラの下で』は、暗にそうしたことを意図しながら作詞しました。

つまり歌詞のフレーズそれぞれ

「野バラの下で 君を見ていた」=内緒で君を見ていた

「野バラの下で 君を待ってた」=こっそり君を待ってた

「野バラの下で 君の手を取り」=人知れず君の手を取り

「野バラの下で 君と共に」=秘密裡に君と共に

という意味を込めたのです。

 

こうして焼きたてパンの香りから着想したこの歌は、その翌月のお茶会パーティーで発表。

その後ライブで1度歌ったものが、この度YouTubeで公開した動画になります。

 

弦楽器やピアノの軽やかなアンサンブルに導かれるアコースティックなサウンド

メルヘンな世界観と、リアルな心象表現を織り込んだ歌詞。

いずれも静かなる挑戦を試みた、お気に入りの一作です。

  

◾️ヒデくんの猫道チャンネル◾️
『野バラの下で』にちなんだライブMCより、ヒデくんの初恋エピソード❤️


ヒデくんの初恋トーク❤️ Talking about my first love❤️ ヒデキマツバラ Hideki Matsubara

 

◾️ヒデキマツバラLIVE動画◾️
80年代フレンチポップのトランスカバー🕺
大人気だった美美の環ミュージカル『続・甘茶姫』からの一幕です👘


ヒデキマツバラ Voyage Voyage (Mike Koglin Remix) by Hideki Matsubara 美美の環ミュージカル『続・甘茶姫』 - YouTube

 

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