ヒデキマツバラの猫道Blog

ドラネコ目線でサウンドクリエイターの日常に潜む笑い、癒し、気づき、魔法をつづったキャットウォーク・エッセイ

母が遺したもの - Remembrance of Mom -

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それは先月のこと、7月に入ったばかりの頃でした。

ボーカリストの方からコンサートにご招待され、呉市の先にある広(ひろ)という街を初めて訪れました。

 

楽器編成は、ボーカル、ピアノ、クラリネット、ギター、ウッドベース、そして100年前のイギリス製オルガン(!)

この年代もののオルガン、音が出ない状態で引き取られてレストアされ、その日が復帰後の初演でした。

 

さて、最前列で鑑賞していたところ、最年長らしきオルガニストの女性とよく目が合います。

気のせいだと思いながらも、オルガニストの顔に浮かぶ表情が僕の心を捉えました。

というのも、それは赤の他人に向けた表情ではなく、懐かしい人に向けられた表情だったからです。

 

終演後、ご挨拶に伺ったところ、オルガニストの方が息せき切って話しかけてきました。

「私がまだヤマハ講師だった若い頃、お母様にご指導いただいたんです!」

 

独身時代の母は、ヤマハ音楽教室の講師として活躍していました。

広島県内各地の教室を受け持ち、生徒たちから慕われ、保護者たちの人望も厚く、生徒数が3倍にも膨れ上がったのだとか。

その手腕を見込まれ、まだ20代前半の若さで、ヤマハ広島支店の講師たちを指導する「センター指導講師」に大抜擢されたのでした。

 

「あまりにも偉大で、私たち講師とは格が違うものですから、畏(おそ)れ多くてとてもとても頭が上がりませんでした」

そう言って笑みをたたえながら、オルガニストの方は母の思い出を語ってくれました。

 

母が亡くなって1年半。

初めて訪れた街で、初めてお会いした方から、こんな思い出話が聞けるなんて。

 

音楽を通じて、人の心に何かを残す。

それが母という人間の生き様だったように思います。

 

音楽を大事にし、人を大事にした母。

その命は尽きても、人の心に残されたものは決して色褪せないのですね。

息子である僕の代になってさえも。

 

こんな遠い街に住むオルガニストの心の中にも、母は生き生きと息づいていたんだ。

その日、僕は胸いっぱいになって帰途につきました。

 

 

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