ヒデキマツバラの猫道Blog

愛猫家ミュージシャン、ヒデキマツバラのキャットウォークブログ

【プログレハウス】Hybrid feat. Julee Cruise - If I Survive 〜幼女と妖女の歌声(ジュリー・クルーズ追悼特集Part2)〜 - If She Survives -

 

ジュリー・クルーズのボーカルは独特です。

罪のないロリータめいた舌足らずな声の奥に、セイレーンのごとく人を惑わし、誘惑へと駆り立てる情念が宿る。

そんな異界のムードを感じさせます。

 

前回記事に続き、ジュリー・クルーズ追悼特集です。

 

 

もし私が生き延びたら

ハイブリッドのデビューアルバム「ワイド・アングル」(1999年作品)

その冒頭部を飾り、セカンドシングルとしてもリリースされた「イフ・アイ・サヴァイブ」

 

これが僕にとって、初めてのジュリー・クルーズ体験でした。

彼女自身がソングライティングも手がけています。

 


IF I SURVIVE
by HYBRID feat. JULEE CRUISE

Breathing shallow
I'm slipping away
Hanging in the gallows
I'm starting to pray

How careful it was planned
To do away with me
So kill me if you can
But words won't make me bleed

So what if I survive
And live to tell the truth
Imagine my surprise
To find me living and so very much alive

I'll find a new life and hide, if I survive
But I swear you're going down if I survive

I'll find a new life and hide, if I survive
I'll find my own place in time, if I survive
I'll learn to forget the crime, if I survive
But I swear you're going down if I survive

If I survive I'll tell on you
If I survive I'll tell on you
If I survive I'll tell on you
If I survive I'll tell on you
If I survive I'll tell on you
If I survive I'll tell on you
If I survive I'll tell on you
If I survive I'll tell on you
If I survive I'll tell on you
If I survive I'll tell on you
If I survive I'll tell on you
If I survive I'll tell on you
If I survive I'll tell on you
If I survive I'll tell on you
If I survive I'll tell on you
If I survive I'll tell on you

I'll find a new life and hide, if I survive
I'll find my own place in time, if I survive
I'll learn to forget the crime, if I survive
But I swear you're going down if I survive

If I survive I'll tell on you
If I survive I'll tell on you
If I survive I'll tell on you
If I survive I'll tell on you
If I survive I'll tell on you
If I survive I'll tell on you
If I survive I'll tell on you
If I survive I'll tell on you
If I survive I'll tell on you
If I survive I'll tell on you
If I survive I'll tell on you
If I survive I'll tell on you

 

息づかいも浅く
天に召されようとしている私
絞首台に吊るされたまま
祈り始める

私を亡き者にしようと
よくも周到に仕組んだものね
えぇ 私を殺せるものなら やってみるがいい
でも暴言なんかじゃ 私の血は流れないわよ

で もし私が生き延びて
真実を告発するまで 生き長らえたらどうなるかしら?
想像してごらんなさい
ピンピンして活気づく私なんて 自分でも驚くほどだもの

もし私が生き延びたら 新たな暮らしを見つけて 潜伏するの
でもって断言するわ
もし私が生き延びたら あんたは身の破滅よ

もし私が生き延びたら 新たな暮らしを見つけて 潜伏するの
もし私が生き延びたら 自分本来の居場所を見つけるわ
もし私が生き延びたら 罪を水に流す術を学ぶの
でもって断言するわ
もし私が生き延びたら あんたは身の破滅よ

もし私が生き延びたら あんたを告発してやる
もし私が生き延びたら あんたを告発してやる
もし私が生き延びたら あんたを告発してやる
もし私が生き延びたら あんたを告発してやる
もし私が生き延びたら あんたを告発してやる
もし私が生き延びたら あんたを告発してやる
もし私が生き延びたら あんたを告発してやる
もし私が生き延びたら あんたを告発してやる
もし私が生き延びたら あんたを告発してやる
もし私が生き延びたら あんたを告発してやる
もし私が生き延びたら あんたを告発してやる
もし私が生き延びたら あんたを告発してやる
もし私が生き延びたら あんたを告発してやる
もし私が生き延びたら あんたを告発してやる
もし私が生き延びたら あんたを告発してやる
もし私が生き延びたら あんたを告発してやるんだから

もし私が生き延びたら 新たな暮らしを見つけて 潜伏するの
もし私が生き延びたら 自分本来の居場所を見つけるわ
もし私が生き延びたら 罪を水に流す術を学ぶの
でもって断言するわ
もし私が生き延びたら あんたは身の破滅よ

もし私が生き延びたら あんたを告発してやる
もし私が生き延びたら あんたを告発してやる
もし私が生き延びたら あんたを告発してやる
もし私が生き延びたら あんたを告発してやる
もし私が生き延びたら あんたを告発してやる
もし私が生き延びたら あんたを告発してやる
もし私が生き延びたら あんたを告発してやる
もし私が生き延びたら あんたを告発してやる
もし私が生き延びたら あんたを告発してやる
もし私が生き延びたら あんたを告発してやる
もし私が生き延びたら あんたを告発してやる
もし私が生き延びたら あんたを告発してやるんだから

対訳/ヒデキマツバラ

 

尋常でない恨み節

不穏なオーケストラサウンドと、緊迫感を高めるブレイクビート。

そして起伏の激しいド迫力の歌声。

「天使の歌声だ」と称されたツインピークスのテーマ曲しか耳にされたことのない方は、さぞ驚かれたかと。

 

当時エイベックスからリリースされた日本盤には、とてもソフトな対訳がついていたものですから。

こじれた男女の歌?程度にしか思っておらず、よく口ずさんできましたが。

このたび自分で訳してみて、愕然としました。

 

歌詞が尋常じゃないですよね。。。

恨み節も恨み節!

かなり深刻な状況を歌ってることを、今にして発見してしまいました。

 

サウンドと合いまって、さながらスパイ映画「007」のごとく緊迫したドラマ感です。

トラウマになるほど、何かに束縛されてきた者の歌?

権力を持った側の人間と、そうでない人間との対立構図?

想像が膨らんでいきます。

 

タブーの告発

YouTubeを見ていたところ、腑に落ちる手がかりを見つけました。

それは、あるカトリック信者からのこんな書き込みでした。

I remember this song from when I first began losing my faith in Catholicism.  These lyrics just leapt straight out at me as if they were my own cries of defiance toward an oppressive god.  Well I DID survive all of the guilt and pain that goes along freeing oneself of religious dogma...   Love this song. 

訳すとこんな感じです。

この歌は、私がカトリックの教えに対して信仰心を失い始めた頃のことを思い出させます。この歌詞がストレートに胸の中に飛び込んできて、暴虐な神に抵抗する自分の内なる叫び声を代弁しているかのようでした。それで私は宗教的な教義そのものを解き放って、あらゆる罪の意識や痛みを切り抜けてきたんです。。。大好きな歌です。

 

罪の意識を植えつけるカトリックの厳格な教えに苦悩して、その束縛から逃れる歌!

この解釈には、目からウロコでした。

 

それを聞いて思い出したのは、マドンナとかシニード・オコナーといったトップアーティストたちのこと。

彼女らは厳格なカトリックの家庭に生まれたが故に苦しみ、抑圧的な宗教に反発するパワーを創作活動へと昇華させたのでした。

 

近年では、信者離れの著しいカトリック

支配的で欲望にまみれた教会指導者たちを告発するニュースも後をたちません。

 

そういったことを前提に、この歌を再解釈してみると

「神の名の下に支配欲と金欲にまみれた教会組織の矛盾を告発した歌」

あるいは

「かつて神父から性的虐待を受けてきた子の歌」

とも受け取れるでしょう。

 

この歌が発表された1999年当時はまだ、教会の権威を貶める情報公開はタブーとされて揉み消されました。

もしかしたらジュリー・クルーズは、そういうことを婉曲的に歌の中で糾弾していたのかも知れません。

 

だとしたら、そんな問題作をデビューアルバムの冒頭に持ってきたハイブリッドの度胸はハンパないわけで。

発表から24年目にして、彼らのチャレンジングな心意気を発見して興奮する僕なのでした。

 

RIP (Rest in peace)

ジュリー・クルーズの痛ましい臨終に想いを馳せながら、改めてこの歌詞を読むたびに、錯覚してしまいます。

まるで死を目前にした極限状態で書いたような歌だな、と。

 

事実、彼女の40年にわたる音楽活動のどこを切り取っても、病的なまでに瘦せこけていて、生命力というか実在感が伝わってきません。

「天使の歌声」というより「彼岸の向こうから届いた声」という印象を受けるのは僕だけでしょうか?

 

思うに、晩年の闘病生活のみならず、かつて命を落としかけたことが一度ならずあったのかもしれません。

改めて、全ての苦痛から自由になれた彼女のご冥福をお祈りするばかりです。

 

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◾️ヒデキマツバラLIVE動画◾️
最愛の母の死から立ち直るきっかけを歌にした『クラウドレス』🌈

 

◾️美美の環スタジオ関連動画◾️
僕の愛弟子ラベニアくんの初ボカロ曲『ドール』聴いてやってください😃

 

◾️ヒデキマツバラLIVE動画◾️
ピアノでオカリナ奏者Terako先生とコラボした「花の歌(byランゲ)」💐