ヒデキマツバラの猫道Blog

音楽、マインドフルネス、それにユーモアを愛するネコ目線のキャットウォークブログ

十代の恋は開栓したてのソーダ水 〜オリジナルソング『Rainy Boy, Sunshine Girl』制作秘話(後編)〜 - Tastes Like Teen Spirit -

 

十代の恋は、まるで栓を開けたばかりのソーダ水。

シュワっと弾けたら、気の抜けないうちにゴクリと味わい尽くす。 

 

オリジナルソング「レイニーボーイ・サンシャインガール」制作秘話、続編です。

 

 

前回までの記事はこちら

 

キラキラな君 ゆらゆらな僕

RAINY BOY, SUNSHINE GIRL

作詞・作曲・編曲/ヒデキマツバラ  

 

にわか雨に降られては

雨やどりする間もなく

水もしたたる男ぶり

まるでスキューバ帰り  

 

手の届かない君は

僕の気も知らず キラキラ

まぶしくて 手をかざした  

 

Rainy Boy & Sunshine Girl

潜っては 息を切らし

I’m your rainy boy

And you’re my sunshine girl  

 

Rainy Boy & Sunshine Girl

浮かび上がる アワを喰って

I’m your rainy boy

And you’re my sunshine girl

Wow wow wow  

 

アクアリウム泳ぐ魚

待ってばかりの僕だった

ゆらゆら 尾びれ揺らして

ガラス越し 見つめる  

 

気圧配置は荒れ模様

停滞する前線

打ち砕く 胸のトビラ  

 

Rainy Boy & Sunshine Girl

熱帯性に目覚める

I’m your rainy boy

And you’re my sunshine girl  

 

Rainy Boy & Sunshine Girl

進め 濡れたハート抱いて

I’m your rainy boy

And you’re my sunshine girl

Wow wow wow  

 

Rainy boy, rainy boy, sunshine girl, sunshine girl

Rainy boy, rainy boy, sunshine girl, sunshine girl

Rainy boy, rainy boy, sunshine girl, sunshine girl

Rainy boy, rainy boy, sunshine girl, sunshine girl  

 

Rainy Boy & Sunshine Girl

行方知れずに堕ちる恋

I’m your rainy boy

And you’re my sunshine girl  

 

Rainy Boy & Sunshine Girl

甘酸っぱくて 塩辛い

I’m your rainy boy

And you’re my sunshine girl

Wow wow wow  

 

Rainy boy, rainy boy, sunshine girl, sunshine girl

Rainy boy, rainy boy, sunshine girl, sunshine girl

Rainy boy, rainy boy, sunshine girl, sunshine girl

Rainy boy, rainy boy, sunshine girl, sunshine girl

 

シュワシュワ炭酸ポップ

「恋する雨男」をテーマに、4年にわたって作り続けた連作『アクアボーイ』

その9作目『レイニーボーイ・サンシャインガール』はシリーズ最終曲です。

 

弾ける炭酸みたいに、しゅわしゅわピコピコした音を多用したダンスポップ。

作風といいBPM(=テンポ)といい、一巡して第1作目の『アクアドット』に回帰してます^^

 

特筆すべきは、コーラスパート。

一人多重録音でハモるのが好きで、この歌では最大限まで自分の声を重ねまくりました。

事前にスタジオでレコーディングしたコーラスパート、その数なんと14トラック!

つまりメインボーカルを含めて、15人のヒデキマツバラが歌っているのです^^

 

すべてはタイトルから始まる

曲作りで1番にやることは、命名

そう、タイトルをつけるんです。

 

タイトルさえ決まれば、あら不思議。

曲調、ストーリー、登場人物まで、次々と引き寄せられます^^

 

特にこの歌は、今まで200曲作ってきた中で、トップ級にお気に入りのタイトル。

レイニーボーイ・サンシャインガール=雨男・晴れ女

真逆のものをタイトルに並べるっていうね^^

 

余談だけど、そういうウィットと遊び心あるタイトルをつけるきっかけになったのが『Penthouse Girl, Basement Boy(ペントハウスガール・ベースメントボーイ)』という歌でした。

UKエレポップ系バンド、セイント・エティエンヌの女性ボーカリストとして知られるサラ・クラックネルの初ソロアルバム「リップスライド」ボーナストラックとして収録されてます。

「最上階暮らしの少女・地階暮らしの少年」=「生活水準もファッションも容姿イメージもギャップの大きい男女」のラブソングというわけで、階級社会イギリスならではのシニカル(=皮肉)さが光りますね^^

 

作者の中に棲みついた主人公

さて、では前回記事の続きを。

 

『レイニーボーイ・サンシャインガール』物語設定

主人公レイニーボーイは男友達の彼女に恋した。

遠くから2人を見つめ、募ってゆく恋心。

それでも友情を優先して、片想いに終止符を打つ。

 

この設定が覆されたのが、まさしく完成間近のことでした。

歌詞の中のレイニーボーイが僕に反旗を翻したのです。

「友情よりも恋をとる」のだと!

 

こうして2番以降の歌詞は、あらかた書き直し。

三角関係に挑もうとする男子の歌へと生まれ変わったのでした。

 

歌の中の主人公が勝手に動き始める!

そんな経験をしたのは、シリーズ第1作目『アクアドット』が初めてでした。

以来、主人公の暴走ぶりをひたすら追いかけた結果、9曲にも及ぶ『アクアボーイ』シリーズに発展したというわけ!

 

自分の頭の中で組み立てたストーリーを忠実になぞって作るより、登場人物が勝手に動くがままにさせた方が断然、冴えた面白い作品になります。

作り手側は、まるでビデオカメラを回しながら主人公たちの行方を追っているが如く。

その臨場感からリアリティーとドキュメンタリーが生まれ、類例のないユニークで強力な個性を持つ作品に成長していきます。

 

世の作家、脚本家、漫画家の方々も、皆さん同じような体験をされてますね。

あなたにも「いつしか自分の中に棲みついた人物」がいたら、ペンを手に取り、ぜひそれを表現してください!

 

ソーダ水の中で恋してる

この歌を作ってみて面白なと思った点は、叶わぬ片想いにつきものの悲壮感がまるでないことです。

恋のにわか雨でずぶ濡れになってる様子を「スキューバダイビング帰り」と描写したり、気持ちのもどかしさを熱帯魚がゆらゆら揺らす尾びれに例えたり。

 

それは僕が「大人の目」で「十代のアクアボーイたちの恋」を俯瞰して書いたからなのでしょう。

息切れして切羽詰まった恋であっても、コミカルにポップに弾けるソーダ水なんです。

 

そう、十代の恋は、ソーダ水のアブクのようなもの。

若さゆえに、それを「愛」だと思い込んじゃう。

本当は「愛」じゃなくて「憧れ」に過ぎないのに。

 

病める時も健やかなる時も誓い合う永遠の愛じゃない。

恋に恋して、出口のない感情に溺れている。

 

だから、どんな切ない恋も、ひと夏にシュワっと泡立つソーダ水。

気が抜けてしまう前に、甘酸っぱさ、塩辛さ、ほろ苦さを、胸いっぱい味わう。

青春はそれでいいのだ^^

 

レイニーボーイのお悩み相談

最後に少しばかり、この歌のモデルになった僕の友達のその後をお話しましょうか^^

 

高校を卒業して、東京の大学へ進学した彼は、順風満帆でした。

原宿で芸能事務所にスカウトされたり、ファッションショーにモデルで出演したり、バーテンのバイトで人脈を広げたり。

うん、彼のポテンシャルを確信していた僕の目は確かだったわけで^^

 

それでも芸能方面に進むことはなく、堅実に銀行へ就職しました。

幼少期に父親を亡くした彼の夢は、早く結婚して家庭を築くことだったのです。

 

さて、申し分ないルックスに恵まれた彼は、この歌のような片想いとは無縁で、彼女に不自由したことはありません^^

が、なぜか彼のつきあう女性は皆、女っ気のないサバサバした子ばかり(笑)

そんな彼女たちと仲違いするたび相談してくる彼に、僕は訥々(とつとつ)と女性心理を諭してあげるのでした^^

(完)

 

『アクアドット』の方は、機会を改めていずれ記事にしますね。

 

ちなみに本記事のサブタイトルは、伝説のオルタナバンド、ニルヴァーナの名曲『Smells Like Teen Spirit』をもじったもの^^

 

 

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